その少女、即ち

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「お、いたいた
名無しさん、一緒に司令室に来てくれ」


そう名無しさんに声を掛けてきたのは科学班班長、リーバー・ウェンハムだ


逃走癖のあるコムイを日々叱咤し、若年にも関わらず班長にまで上り詰めた彼はきっと苦労してきたのだろう


彼の目の下には、消える日が来るのか定かではない隈が出来ていた


ーーーーー


リーバーと共に司令室に行くと地図と睨めっこをしているコムイの姿があった


「室長、名無しさん連れてきましたよ」


リーバーが声を掛けると、コムイはくるりと此方を振り返る


「ああ、名無しさんくん来てくれたんだね
君にとって初めての任務になるから後でよく資料を読んでおいて欲しい」


そう言って、パサりと紙の束を渡される


任務…


少しの緊張と少しの高揚


二つの感情が奥底で混じりあって漣のように揺蕩う



「掻い摘んで話すと、今までただ泥が溜まっていただけの場所に一晩で湖があらわれたそうなんだ
イノセンスは怪奇を引き起こすから、そこに存在する可能性が高い
現地の探索部隊(ファインダー)も何体かの悪魔を確認している
名無しさんくんは現地で神田くんと合流して悪魔の排除とイノセンスの保護をして貰いたい」


「神田?」


聞いたことのない名に思わず口を挟む


名前からして彼も日本人なのだろうか?


苗字を持っている事から武士や公家の出なのかもしれない


「そう、神田くんも君と同じエクソシストだよ
今違う任務で此処にはいないんだけど、もう終わって其方に向かってくれてるから、名無しさんくんの準備が出来次第直ぐに出て欲しい」


飄々とした普段の彼とは違い、真剣な眼差しで見つめられる


コムイの立場を斟酌すると、戦場に人を送るのだから彼も辛かろう
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