タロット ガッシュ

□20 審判
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終末の目覚め。

「審判」のカードは、キリスト教の最後の審判を描いている。

雲の上から天使がラッパを吹き鳴らして、終末の時を告げている。すべての人が棺より目覚めて立ち上がり、新しく永遠の命を授かる。

滅びの終末と救済。
審判の時、誰しも過去と向き合い、何であれその結果を示される。

タロットの「審判」は、過去に失われたものが再び復活すること、あるいは新しい目覚めを表している。

この「審判」にあてはめるのはゼオン。
主人公ガッシュの記憶を奪った因縁の相手。

ゼオンに似合うカードを考えると、かなり迷います。絶対的な皇帝、真逆の吊され人、圧倒的な死……。
ただ何か決め手に欠けるのです。

でも、終末を告げる天使の姿をゼオンと重ねるとぴったりと合う。
「魔界の王を決める戦いが終わったら、ファウードなど人間界にすてればよい。ファウードを魔界に帰す装置は破壊する」
「お前らと遊ぶのは、もう飽きた。もう、消えろ!」

そして審判が意味する復活。
「何をやっている? ガッシュよ、早く起きんか!? まだ仲間の血を無駄に流すつもりか!? オレと戦えるのはお前しかいない!」
ゼオンは、一度は倒したガッシュが起きるのを待ち、その上ですべての力を注いで倒そうとする。

「最後の勝負だ」
過去に向き合い、勝負に挑むゼオンは、さながら裁きを行う「審判」なのです。


ゼオン

相克する双子の兄。

同じ姿であっても、その性質は正反対。
「雷帝」と呼ばれるほど強い雷の力を受け継ぎ、冷静な思考と強靱な身体、術も相当に鍛え上げられていて、その威力は桁違い。

何よりガッシュに向けられた、強い憎しみ。

ガッシュが「バオウ」を受け継ぎ、王宮を離れたことで、ゼオンは厳しい教育と訓練の日々を送る。
普通の子のように遊ぶことを許されず、辛くとも自分の力が強くなることを実感して、ゼオンは耐える。
「だが、どうしても我慢ならんことは… 『バオウ』の力以外は全く落ちこぼれのお前が、この魔界の王を決める戦いに参加していることだ!」
ゼオンの憎しみの根本にあるのは、孤独と理不尽への怒り。それを覆したいがための力の渇望。

だが、覚醒した「バオウ」は、憎しみと怒りに黒く染まり、全てを喰らい破壊する、恐ろしい術だった。

ゼオンでも使いこなせない「バオウ」の真の姿と、ガッシュから奪った記憶を見て、ゼオンは知らなかった真実から答えを確かめようとする。
「デュフォー、お前もぶつけて見ろ、お前が持つ力を全て… きっとその先に、違う景色が待っている」

お互いの全力をかけた対決の末に、ゼオンはガッシュと和解する。

そして、デュフォーを解放する。
「生きてくれ、デュフォー。オレの願いだ。お前のようにすごい奴がこのまま過去に縛られ、消えていくのは耐えられん」

過去に縛られ、怒りと憎しみから力を求める空しさ、愚かさ。

「審判」の後には、世界の変革や新たな生まれ変わりがあるのです。
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