タロット ガッシュ

□18 月
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タロットの「月」が表すのは夜の闇。

大きな三日月が掛かる夜の空と、二つの塔の間に細い道、吠える犬か狼がいて、泉からザリガニが這い出してくる。

不安と迷い、偽りと幻、裏切りのカード。

月は冷たく夜を照らし闇を支配するものであり、潮の満ち干を引き起こすものであり、夜毎に姿を変えて時を数え暦を司るものであり。

そんな「月」にあてはめるのは、レイラ。
華麗なるビクトリームと戦って力を使い果たしていたガッシュ達を助けてくれた千年前の魔物。

彼女は見た目からして、三日月が服に描かれているし、三日月のステッキを持って、三日月の術を使う。
おかっぱ頭に2本の角が可愛い、小さな女の子の魔物。

「今の私達のやってることが間違いだってことくらい……私にはわかってるわ」

石版に閉じこめられた千年の孤独。
嘘と偽りに気づいて、過ちを知っていても、心に刻まれた恐怖からは逃れられない。
それでも、月の光の外へ踏み出し、偽りのパートナーと本当の絆を結んだレイラ。
だからこそ、彼女は「月」。


レイラ

暗闇を照らす月明かり。

千年前の魔物を石の呪縛から解放したのは、「月の石」と呼ばれる不思議な結晶が放つ「月の光」。
それは空気に触れるとすぐに消えてしまうけど、人と魔物の体の傷を癒し、心の力を回復させる。

でも誰も、その光が何なのか、その石がどんな原理でできているかもわからない。

この状況こそがタロットの「月」の夜の闇。曖昧で不安定な月の光。
ゾフィスは嘘と偽りで心を操っている。
恐怖が心を縛り上げる。

もともと石の呪縛は、魔物達の心に千年かけて刻みつけられている。
硬い石に閉じこめられて、孤独のうちに過ごした永い千年。なまじ耳や目が利き記憶もあって、その恨み辛みの行き場がない。

レイラは、より強い暗示をかけられて、月の光の降り注ぐ場所から出られなくなる。
本の読み手の人間と千年前の魔物を解放するため、月の石を壊そうとするガッシュ達をレイラは攻撃する。

その絡繰りが分かっても、呪縛を解くのは難しい。

月の光の外へ踏み出して、幻覚のために冷たく固まったレイラの手を握り、膝に抱えたアルベールの涙がレイラを目覚めさせる。

レイラの呼びかけに答えずとも聞いていたアルベールのように、月は相手の光を受けて輝く受容性の象徴。そして真の絆を結んだレイラ達は、狂気のデモルトを翻弄するほどに強い。

最後にレイラは自ら魔界に帰り、アルベールとは別れるけど、月が姿を戻すように、この二人がまた巡り会うことを願わずにいられない。
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