タロット ガッシュ
□21 世界
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「世界」は全てが完成されるカードです。
四大元素の象徴と月桂樹の輪の中に、両性具有の完全なる存在が描かれる。
あらゆる対立の統合、ものごとの完成、旅の終わりを表す最後のカード。
これもまた、物語の主人公をあてることが多いですね。
「世界」にあてはめるのは、高嶺清麿。
完成された主人公です。
孤独な天才児の高嶺清麿と、記憶喪失の魔物のガッシュの出会いが、この物語の始まり。
ガッシュの対になる主人公。
自他ともに認める優れた頭脳を持つ清麿と、自分の能力も知らない落ちこぼれのガッシュ。
二人は全く似てないけど、怒るところ泣くところが同じ。何に傷つくのか、何を大切に思うのか。つまり善悪の判断、物事への価値観が同じなのです。
そしてそれは揺るがない。
清麿自身は未熟な中学生です。
難解な論文は理解できても、芸術的な感性や恋愛などの情緒には疎く、手先は器用で壊れた機械を直せても、料理は下手で絶望的に不味い。
その優れた頭脳を持ってしても、戦いに負けることもあったし、捨て身の策をとったことで、怒りと憎しみのバオウを覚醒させてしまうし。
ただ、本の持ち主として王を導く資質があった。金色の本を手にして、清麿はガッシュの背後に佇む。
「世界」は主人公の背景なんです。
高嶺清麿
物語の成就。
清麿は、並外れて頭がいい。
誰かに何かを教えてもらうために、学校へ行く必要もないくらいに。
学校は社会の縮図とも言われますが、その学校や社会を必要としない人もいますね。
それは世界を拒絶すること。
大鷲とともにガッシュが窓をぶち壊してやって来たことで、空虚な日々を過ごしていた清麿は学校に行く。
世界には大切なものがたくさんある。
喜びも怒りも悲しみも楽しみも、世界の中にあればこそ感じるものです。
閉じていた世界をガッシュが壊し、清麿は学校生活を取り戻す。
そして魔界の王を決める戦いが始まる。
世界とは、苛酷な現実でもある。
それに清麿はガッシュを叱咤し立ち向かう。
「ここにいたかったらここにいるために戦え! 自分が本当に何者か知りたかったら… それを探すために戦え!」
出会ったばかりの自分を信じ、苦しいときに助けてくれた友達のために。
一人ではない、一緒に戦うから、と。
清麿の「私の中で大切な何かが生まれた感じ」は、現実を引き受けて理想に向かう、その世界のただなかにあるもの。
喜怒哀楽の感情は四大元素となり、心の力が魂を輝かす。
最後の選択の時、清麿はガッシュとの記憶を財産として選ぶ。
それは清麿のこれからを金色に輝かすもの。
すべての物語は出会いで始まり、別れで終わる。
そして世界は成就する。