Long story

□00:はじまり
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「名無しーー早く来いよ〜!」





「待って兄上ー!」




ここは武蔵国多摩郡のある村
あたり一面山や畑、緑に囲まれた
和な小さな村。


そこに仲のいい兄妹がいた

兄の名を大槻 銀蔵
妹を名無しと言った


「はいっ!俺の勝ちな」


「先に走ってずるいよ〜」



「名無し〜銀蔵〜」



「あ、母さん!!」


自分達を探しに来た母に気づくと
銀蔵は大きく手を振り
名無しの手を取り母の元へと走った。












「今日は何をして遊んでたの?」

「今日はね裏山に行って…」


親子は囲炉裏を囲み
質素ではあるが丹精込めて育てた
野菜を使った夕餉をとる。


名無しには母と兄がいたが
父親はいなかった。


名無しが生まれてまもない頃
父は賊に襲われ命を落としており

それから今まで母が女手一つで
育ててきた。


「明日は近藤先生の所に稽古つけてもらいに行くんだ!俺ね近藤先生に筋がいいって褒められたんだよ!」


「そう、それは良かったわね」


「私も行きたいな…」


「名無しは女の子なんだからダメだよ。お前は俺がいない間、母さんの手伝いをしなきゃ母さんが大変だろ?」


名無しは別に刀を習いたい訳ではない。ただ、大好きな兄と一緒にいたかった


「うん…わかった!」

「よし、いい子!」



銀蔵は名無しの頭を
2回ほど優しく叩き笑顔で言った。
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