中編

□運命の日
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ジリリリリリリ ジリリリリリリ!


バンっ!

「朝...」

涎を垂らしグシャグシャな髪のまま上半身だけ起こす

目が開けることを許さずまた眠りそうになる

「ふぁ...あ...」

大きなあくびをして耳を外に傾けるといつもの鳥の声はない

何かがおかしいと思い半開きの目で時計を見る

「.........オワタ」

私は時計を見て出勤の三十分前だということに気づく

「マジでやばいじゃん!!」

一気に目を見開いて5分間で顔と歯磨き、着替えに髪の毛を終わらせる

「いってきます!!」

そう叫びカバンを持ってドアを開けると

土砂降りの雨が私の家に入ってくる

「土砂降りやん!」

そう叫び再び家の中に入る

バタバタと足音を立ててニュースを見るとどうやら酷い台風が上陸しているらしい

(最近TV見てなかったな...)

毎日働き詰めをし帰っては部屋着に着替えすぐさまお風呂に入り軽く飯を食べ寝ているため特にテレビは見ていなかった

(どうすっかな...今日)

もう遅刻は確定そしてこの土砂降り

今まで特に休む理由もなかったので休まずに働いてきた

化粧もしてないご飯も食べてない

(これはもう...今日は特に重要な仕事はないはず...昨日いろいろ終わらせたし...今まさに休む時!!)

そう思った私は会社に連絡をした

『いやぁこの雨は仕方が無いね。風も強いし、いつも頑張ってくれてるから今日はゆっくり休んでくれ』

「ありがとうございます。それではお言葉に甘えて......ええ...はい。それでは失礼いたします」

とても陽気に私の休みを許可してくれた上司

(よっしゃ!最高!!)

私はまた部屋着に着替えてベッドにダイブする

(今日だけ贅沢しよっと!)

私は二、三回ごろごろしてから冷蔵庫へと向かった

「今日は〜ビール飲んでー、贅沢なつまみを食べて〜テレビ見たりパソコンしたり趣味につぎ込もっと!」

私は冷蔵庫までスキップをして荒々しく扉を開ける

「...うそ...何もない」

冷蔵庫の中にはマヨネーズと朝食のゼリーしかなかった

(この雨だから外は出たくないな...でもゼリーで一日しのげるか...)

「あー!結局買いに行かなきゃなのか」

私は外に出れる格好をしてレインコートを羽織る

(ダサいけど仕方ないよね...)

小さめのカバンを持ち、近くのコンビニへと向かった


(雨強っ!)

家を出て早々に私の心は挫けていた

(いや...私は今日の休日を趣味に費やするんだ...そのためにお酒は必須...)

そう思いながらひたすら雨の中を進む

こうしてたどり着いたコンビニでお酒にチーズ、ついでにお弁当等必要なものを買って再び外に出る

レインコートの中に袋とカバンを入れているから濡れる心配はない

ルンルン気分で歩いていると土手が見えた

(川の流れが激しいな...)

そう思いながら車が全く通らない道を歩く

ふと川を見ると川の中で何かが動いているのが見えた

(こんな風の強い日に川に入るなんて...でも普段も遊泳禁止だよな?)

私はその物体が気になり土手を下り川に近寄った

「...えっ...?」

その川の中にいるのは今にも溺れそうな子供だった

私はうるさい心臓を無視して服を脱ぐ

(誰も見てないし子供の方が優先!)

私は下着姿になり川に向かって身を投げた

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