中編
□物語2
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あの日から3年が経とうとしたある日
湖を眺めていた女を村の人が発見してしまった
女は村人全員に問い詰められて挙句縄で縛り上げられ古い牢屋に入れられてしまった
必死の抵抗虚しく女は光すら浴びることは許されなかった
半年後
今にも死んでしまいそうなくらいやせ細ってしまった女の元に一人の男が現れた
「遅くなってごめんね。さぁこれを飲んで」
男は女に瓶を渡した
最愛の男が戻ってきた感動で女は泣きながら瓶の中身を飲んだ
「声を出してみて」
そう男に言われて女は必死で声をだそうとする
「......ぁ......っ...あ」
女の高く澄んだ綺麗な声に男は驚く
「それが...君の声...」
男と女は二人で涙を流し抱き合った
「急いでここから出よう」
「......うん!」
二人は手を繋ぎ走り出した
どこに向かうかわからない
でも2人は笑いあって太陽に向かって走った
「ねぇ...君の名前は?」
「私の名前は.........」
女の名前を初めて聞いた時ふたりは体を重ねた
美しく輝く月の光を浴びながら、掠れ上擦った音を聞き男女は愛を確かめあった
こうして二人の間に子供が産まれた
産まれた子供を守りながら二人は逃げるように船に乗った
歩けるようになった子供は二人の元を離れて船の上を歩いていたのだが突然強い風が吹いてきて子供は海に落ちていった
水を掻き必死に海に沈まないように暴れる子供を見て男は真っ先に子供を助けに行った
だが、助けに行った男の姿は人間のままだった
子供を助けた男は船の乗務員に引き上げてもらった
一命を取り留めた男と子供を心配し一度病院に入院した
「...どうして...あなたの姿は人間のままだったの?」
「.........」
「お願いよ...言って...」
「...あの時...」
男は女の声を取り戻しに行くといい湖の底の伝説として言い伝えられている呪いの魔女を探した
二年間かけて見つけた魔女に女の声を取り戻す方法はないかと尋ねると
「あんたの体と引換ならこの薬を上げてもいいだろう」
そう男に告げた
男の覚悟はとうに出来ていて早々に男は返事をした
だが男の尻尾を渡すには一年間をかけて少しずつ身体から引き剥がすしかなかった
男は魔女に呪いをかけられ一年間の眠りについた
眠りについたとしても身体から引き剥がされていく激痛に耐え一年もの間ずっと暗闇しか見ることが許されなかった
魔女は激痛に耐える男の尻尾を剥がし人間の足を取り付けた
こうして1年の眠りに覚めると男の尻尾は魔女のものになった
男の個性は完全に失った訳では無いがその喪失感は言い表せなかった
幸い水の中で呼吸をすることは出来たので魔女からもらった瓶を持ち
必死に半年間泳いで女の元に向かったそうだ
「私のために...」
女は自分のせいで男が体を失ったことを悔やむ
「君の声を聞きたかった...君のその声で僕に愛してると言って欲しかった...そのためなら僕はこの目だって喜んで差し出すよ」
そう男はいい女を抱きしめた
二人は子供が大きくなる前に預言者の元を訪れた
「...むぅ...この女の子は将来恋に落ちるだろう...だがその恋に落ちた瞬間この子の声は出なくなる...」
「...そんな...」
「だが見事成就すれば声は戻り幸せも手に入る...だが...」
「成就しなければ...?」
「泡となり消えるだろう」
「泡に...」
預言者の言葉を胸に子供の親は彼女にこのことを知らせようとした
彼女の親が出会った15という歳に...
―――
どうだったかな?
少し長すぎた?
でも二人の人生を見るのにこれじゃ少し短いぐらいなんだよな
でもすっごい運命だって思わない?
私もこんな恋愛してみたいなって思うの
でも私は恋をしてしまうと成就しなければ泡になって消えてしまう
そう予言されてしまった
さて私は...泡となって消えてしまうの?
それとも...運命の人と幸せになれるの?
それじゃ次のページから私の物語が始まるよ
20歳になった私に訪れた運命の出会い
果たして、成就するのかな
次へ運命の日