【音楽は愛故に。】
□第4音
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「俺は何故、君が神宮寺財閥を嫌っているのかは知らないし、わからない。だけど…。」
そこで言葉を止め、瞳を揺らした後
「俺のことを“神宮寺レン"という一人の男としてみてくれないかい。
君の奏でる曲が、歌が、声が…大好きなんだ。」
そう言った神宮寺レンの顔は切なく歪められていて…。
…学園で初めて会った時からわかってた。
ただの八つ当たりだって。
悪いのは神宮寺レンでも誠一郎さんでもなくて、神宮寺レンの父親。
やっぱりちゃんと私も向き合わなきゃ。
「ごめんなさい。」
「ッ!?」
私が謝ると体を固くした。
拒絶されたと思わせちゃったかな。
「レディ、それは「わかってた。ただの八つ当たりだって。」…え?」
「貴方は何も悪くない。私が嫌いなのは貴方の父親だけ。八つ当たりしてごめんなさい…。」
私がそう言うとすごくビックリして
「ッ仲良くしてくれるかい…亜実」
「うん、よろしくね。…レン。」
と私が言うと名前を呼ばれたことに驚いたみたいだけだったけど嬉しそうに笑っていた。
それから私が先代を嫌った理由と今の現状と真斗のことなどを話した。
レンも幼い頃のことや真斗のこと、早乙女学園に入った理由、それから私と和解ができたため、音楽に本気で真剣になるということなどを話してくれた。
「やっとハニーに会えたんだ。俺もそろそろ本気で頑張るよ。ハニーも一緒に頑張ろうね。」
「うん!私も頑張る!!」
そう言って椅子から立ち上がると
「っえ…?」
フラッ
私の意識はそこで途絶えた。