【音楽は愛故に。】
□第4音
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「ッ神宮寺レン…。」
「ねぇ、レディ。話があるんだ。ちょっといいかい?」
神宮寺レンが私に話し…?
真剣な顔をしているから大事な話なんだろう。
…神宮寺レンが悪い訳でもないし、現総帥の誠一郎さんが悪い訳でもない。
しかも、誠一郎さんは先代が亡くなった後、頭を下げに来た。
…そろそろ意味のない意地を張るのはやめろってことかな。
私も向き合わなきゃ。
「わかった。場所をかえよっか。」
そう言うと少しビックリしたような顔をして、その後
「Ok 行こうか。」
と歩き出した。
***
ついた先は空き教室。
なかに入って神宮寺レンは徐にすわるから私も続いて座る。
「…話しって、なぁに?」
と聞くと覚悟を決めたように話し出した。
「…俺と君は、この学園で初めて会ったわけじゃないんだよ。覚えているかい?」
…え?
ビックリして神宮寺レンの顔を見ると儚げに笑う整った顔。
「あれは兄さんの一人が海外に行っている時のパーティーだった。俺と長男の兄さんは父親の挨拶まわりに同行させられていたんだ。暫くするとボスに会ったんだ。そこに君がいた。でも、そのときの君の苗字は『神谷』じゃなかったかい?」
「!!」
身に覚えがあった。
第一、私が参加したパーティーは一度きり。
そして総帥にピアノを聞かれた時、近くに居たのは誠一郎さんと…
この人、レンだ。
思い出した。
「俺はそのときの君の音楽に…心を鷲掴みにされたよ。もう2度と聴けないと思っていた母さんの曲に君の綺麗な声が合わさって。
俺は…ずっと君に逢いたかったんだ。」
…そういえば、神宮寺レンが幼い頃に円城寺蓮華さんは亡くなってるんだった。