【音楽は愛故に。】
□第2音
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滑り落ちた先は教室の近くの廊下。
私は確か、Sクラス。
ま、当然よね。
…そう言えば、真斗はどうだったんだろう。
ガラッとドアを開けるともうほとんどの生徒が居た。
席は…決まってるか。
自分の席に座るとすぐリュウが来てHRが始まった。
ボケーッとしてると、隣の席の人が立った。
「一ノ瀬 トキヤです。アイドルコース所属です。HAYATOは双子の兄ですが、仲の取り持ちなどはしませんので。」
HAYATO?あぁ、あの『おはやっほー』の人か。
あれ、リンの『おはやっぷ〜』とにてない?
とか思ってると、HAYATOと違うことを証明するために一ノ瀬君が歌った。
…ふーん。上手だけど…それだけ、かな。
それより…声質、響き、Hzが全てHAYATOと同じじゃない。
いくら双子だとしてもこんなに同じなはずがない。
後できいてみるかな。
すると私の番になった。
「早乙女 亜実です。アイドル、作曲家コースの両コースを受講しています。よろしくお願いします。」
名前とコースを言ったとたんに騒がしくなった。
まぁ、異例だしね。両方のコースを受講するなんて。
「おい、それだけかよ…。あ、お前、弾き語り得意だろ?なんかやれよ。」
え。なんかってなによ…。
うーん、この間作ったやつでいいかな。
♪〜♪〜♪〜♪
最後の1音を弾き終わると1瞬だけ静かになったけど、たくさんの拍手が貰えた。
「よし、さすがだな。あー、こいつは学年主席だから、わかんねーことあればこいつにきけなー。じゃ、終わる!」
リュウのそんな一声でHRが終わった。
終わると同時に前の席の人が話しかけてきた。
「よ!俺は来栖 翔だ!よろしくな!お前、歌もピアノもすげーな!」
とキラキラな笑顔で誉めてくれたので仲良くなった。
で、話が一段落したので隣の席の一ノ瀬くんに話しかけてみた。
「…HAYATO。」
私が小さい声で言うとピクッと反応し、眉間にシワを寄せて
「私はHAYATOではありません。何度言えばわかるんですか。」
と怒ってきたのでちょっとカチンときたからカマをかけてやる。