【音楽は愛故に。】

□第1音
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――side レン――


「ッ!あの歌は…!」



今日のパーティーは兄さんが1人居なかったから俺まで挨拶回りに駆り出された。



そろそろ飽きてきたな…。



「これはこれは。シャイニング早乙女さん。久しぶりですな。」



「オーウ!Mr.神宮寺!久しぶりデースネー!後ろの二人はお子さんデースカ?」



シャイニング早乙女と…娘かな?



…随分綺麗なレディだね。まるでフランス人形だ。



ブロンドの髪に俺と同じスカイブルーの瞳。



まるで吸い込まれるような…。



「えぇ。長男の誠一郎と三男のレンです。今、次男は海外に居てね。…そちらは?」



父さんに聞かれるとその子は1歩前に出てふわりと笑みを浮かべて礼をした。



「お初にお目にかかります、神宮寺様。神谷 亜実と申します。」



すると、父さんと兄さんはピクリと反応した。



「神谷…?」



「亜実はワタシの友人の子供デース!今はワタシが後見人となってマース。Mr.神宮寺?亜実のパフォーマンス、見てくれマースか?」



すると、その子は近くのグランドピアノに座り、弾き始めた。



その子が弾いたのは母さんの曲。



俺が大好きで、二度と聞けないと思っていた曲。



「早乙女さん、彼女は…神谷社長の…娘ですかな。」



「そうだ。」



「ッ!!…やられました、ね。蓮華の曲とは…。」






―――――俺はその子の声に引き込まれた。その子は歌い終わると一礼し、こちらに戻ってきて挨拶をすると席を外してしまった。



…彼女の事が知りたい。

彼女にもっと近づきたい。


俺の心は一曲の歌で彼女のものになってしまった。




        ――sideレン End――


   
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