【音楽は愛故に。】
□第1音
4ページ/4ページ
――side レン――
「ッ!あの歌は…!」
今日のパーティーは兄さんが1人居なかったから俺まで挨拶回りに駆り出された。
そろそろ飽きてきたな…。
「これはこれは。シャイニング早乙女さん。久しぶりですな。」
「オーウ!Mr.神宮寺!久しぶりデースネー!後ろの二人はお子さんデースカ?」
シャイニング早乙女と…娘かな?
…随分綺麗なレディだね。まるでフランス人形だ。
ブロンドの髪に俺と同じスカイブルーの瞳。
まるで吸い込まれるような…。
「えぇ。長男の誠一郎と三男のレンです。今、次男は海外に居てね。…そちらは?」
父さんに聞かれるとその子は1歩前に出てふわりと笑みを浮かべて礼をした。
「お初にお目にかかります、神宮寺様。神谷 亜実と申します。」
すると、父さんと兄さんはピクリと反応した。
「神谷…?」
「亜実はワタシの友人の子供デース!今はワタシが後見人となってマース。Mr.神宮寺?亜実のパフォーマンス、見てくれマースか?」
すると、その子は近くのグランドピアノに座り、弾き始めた。
その子が弾いたのは母さんの曲。
俺が大好きで、二度と聞けないと思っていた曲。
「早乙女さん、彼女は…神谷社長の…娘ですかな。」
「そうだ。」
「ッ!!…やられました、ね。蓮華の曲とは…。」
―――――俺はその子の声に引き込まれた。その子は歌い終わると一礼し、こちらに戻ってきて挨拶をすると席を外してしまった。
…彼女の事が知りたい。
彼女にもっと近づきたい。
俺の心は一曲の歌で彼女のものになってしまった。
――sideレン End――