【君想。】
□第5話
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僕には彼女がいる。
主に林檎先輩の曲を書いていて、作詞もできちゃう可愛い子。
でも、僕も彼女も忙しくてなかなか会えない。
そんな中、始まったマスターコースの教官。
後輩、ST☆RISHの専属作曲家である七海春歌ちゃん。
この子の作る曲がまたいい曲なんだよね。
それで調度ソロ曲を作るとき、僕の彼女と後輩ちゃんの2択で、他の3人は迷わず僕の彼女、亜実を選んだ。
僕も本音を言うと亜実の曲は歌ってみたいけど、ここは先輩として指導しなくちゃた思って後輩ちゃんを選んだ。
でも、後輩ちゃんは思ったより僕好みの曲を書いてきてくれて話が弾んだし、何より素直で教えがいもあって、天然でかわい…
じゃなくって!!
でも…僕を慕ってくれて、教えてあげたことを吸収してまた曲を直して来たとき、“寿先輩!"って書け寄ってくる後輩ちゃんは…ほんとに…可愛い。
何となく、亜実が事務所内で僕を呼ぶときに似てるなー。なんて思ってしまった。
そしてついに僕のソロ曲が出来上がった。
“溺愛♥テンプテーション"
僕がこのタイトルと歌詞を決めたときに言った後輩ちゃんの顔に僕は動揺してしまった。
「この曲みたいに寿先輩に愛される人は幸せなんでしょうね…。」
そう言ってから切なそうに顔を歪めながら笑おうとする後輩ちゃんになぜか慰めてあげたくなって。
そして次に後輩ちゃんが言った言葉を聞いた瞬間、僕の中の何かが弾けた気がした。
“まだ、一緒に曲作りしていたかったです…。
寿先輩が……
嶺二先輩が…好きなんです。"
衝動的にキスをした。
そして僕は大好きで大切な彼女の亜実を裏切ってしまったんだ。