【君想。】
□第2話
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その日から嶺二さんとその後輩ちゃんが一緒にいる所をよく見るようになった。
後輩ちゃんとは七海春歌ちゃんの事だった。
「可愛いもんね…。」
「誰が?」
ポツリと漏らした独り言に返事をしたのは
「藍…。」
嶺二さんと同じQUARTET NIGHTの美風藍だった。
「どうしたの。事務所にいるなんて。」
藍は自分のスタジオを持っているからあんまり事務所に来ないのに。
「ちょっとシャイニングに呼ばれてる。アミは?」
「え。私も社長に呼ばれてるの。」
と私が言うと藍は少し驚きながらじゃあ一緒に行こうと社長室に向かった。
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社長室に入ると中に居たのは社長と龍也先輩、それからカミュくんに確か…ST☆RISHの一ノ瀬トキヤと神宮寺レンだったかな?
「オーウ。やっと来ましたネ、Mr. 美風andMs.神谷!」
「やっと来たって、まだ指定された時間の5分前だよ。」
「それで、早乙女。用件はなんだ。」
カミュくんが社長に聞くと社長は口でドラムロールをしてから机を叩いて言った。
「ズバリ!この4人でユニットを組んじゃってクダサーイ!」
「「はぁ!?」」
社長はそれだけ言うとババイノバイ♪なんて言いながら空いてる窓から飛び去った。
うん、…飛び去った。
「はぁ。つー訳で、お前らはそこにいる神谷の作った曲で1枚シングルを出してもらう。テーマは大人とかクールとかそんな感じでラブソングだ。分かったか、神谷。」
「っえ、はい。」
「よし。じゃあそのまま隣の会議室で早速イメージまとめろ。時間がねぇ。
発売日は2か月後だ。」
2か月後って…。マジか。
じゃあ秋冬な感じがいいよなぁ…。なんて思いながら社長室をでてふと横を見ると
「寿先輩!!曲、見てください!」
え…。
見えたのは楽譜を持って嶺二さんの胸に飛び込んだ七海春歌ちゃんとそれを受けとめた嶺二さん。
そして二人で顔を近づけて楽譜を覗き込んでいる。
時折、顔を見合わせて微笑みあっている2人はとてもお似合いで。
私の中の何かが音をたてて崩れていった。
「レディ?どうしたんだい?……あれはブッキーと子羊ちゃんだね。」
神宮寺レンが声をかけてくれたけど反応することができない。
視界がぼやけてくる。
すると突然目の前が真っ暗になり、心地よいボーイソプラノが聞こえた。
「見なくていいよ。さ、行こう?」
藍に目をふさがれ会議室へ向かった。