夜ゾラニ天ノガワガ光ルコロ
□素直になれたらいいのに
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〈登場人物〉
夜天光(夜)
愛野美奈子(美)
星野光(星)
大気光(大)
月野うさぎ(う)
火球王妃(火)
-ある日の放課後-
大『夜天。』
夜『何…?』
大『今日の仕事、キャンセルが入ったようですが、どこか食事にでも行きます?』
夜『僕はいいや。帰って寝る。』
大『そうですか。では、また自宅で。』
そう言って大気は教室から出て行った。
教室の隅では
う『星野!?先に終わらせたら許さないからね!?』
星『それはこっちの台詞だ!!』
宿題やってない組が居残り。
…あれ?2人だけ…?
そう、いつもならこの2人の他にもう1人金髪の女の子がいるはずなのだ。
星『あ、愛野なら部活行ったぜ?俺らのこと裏切って宿題やってきやがったんだよ、愛野のやつ…。』
う『美奈子ちゃん、なーんか最近おかしいのよね…あっ!』
月野がカバンから何か取り出す。
う『夜天くん!用事ないならこれ!美奈子ちゃんに届けておいて!!美奈子ちゃんの部活が終わるまでに宿題終わりそうにないから!』
…レモンパイ?
星『おだんごのお母さんの作るレモンパイ、絶品なんだぜ!?』
夜『ふーん、食べたことあるんだ。』
う『ちょ、星野っ!!///』
大気からもうとっくに聞いたし。
付き合ってんだよね、この2人。
夜『…しょうがないなー。じゃあ宿題頑張りなよ、問題児2人組。』
そう言い残して僕は体育館に向かった。
体育館では、愛野所属のバレー部が練習試合をしていた。
監督『休憩にしよう。』
部員『はい!!』
愛野が僕に気づいて駆け寄る。
美『夜天くん!どうしたの?』
夜『月野から。これ。』
美『これレモンパイじゃない!!美味しいのよね、うさぎちゃんママのレモンパイ♪』
夜『そんなに美味しいんだ?』
美『そーよッ☆よかったら1個どーぞッ☆』
夜『じゃあ1個だけ…。』
食べてみると、今までに食べたことがないくらいに美味しかった。
美『美味しいでしょッ☆』
夜『うん、月野なんかのお母さんが作ったとは思えないね。』
美『うふふっ♡それ、うさぎちゃんには禁句よ?』
夜『わかってるよ。じゃあ、僕帰るから続き頑張りなよ。』
美『アリガトッ☆』
僕は傘をさしていても意味ないくらいの土砂降りの中、大気に借りた折畳み傘で帰る。
…疲れたし喫茶店でも寄ろうかな。
僕は学校近くの喫茶店に立ち寄り、窓際の席に座る。
そしてコーヒーを頼んだ。
あの娘が来ないかな、なんて考えたりして。
…なに考えてんの?
プリンセスを見つけられた今、僕たちはキンモク星に帰らなければならないのに…
思いを伝えたらもっとつらくなるかもしれないのに…
こんなときに僕は何を考えてるわけ…