うらなりデジャヴ Nozomu.K

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うらなりデジャヴ ○1○
ゆかside


女「うらなりちゃん、今日も学校来たんだぁw」
もう慣れた、こんな生活。
女「うらなりちゃんの居場所なんてここにはないですよーww」
ほんと、どうでもいい。

私の座席はいつも通りない。
また屋上かな?
屋上に机を探しに行くのはもう日常茶飯事。
怜央「さいじょーさん、屋上にあるよ?」
私のことを唯一名字で呼ぶ長妻怜央は謎が多い。
ゆか「…あっそ。」
いつも彼が手に持っているバスケットボールが私の足元に転がる。
拾うべきか?うらなり。
女「怜央のボール、触っちゃだめだよ?」
腹黒そうな、長妻怜央のファンが私を睨みながら言う。
別に、拾うつもりなかったし。
私は屋上に足を向けた。
クラスのやつら、全員を恨んでる。
なんで私が標的になったのか、考える気も失った。
ゆか「あった…」
屋上の片隅にぽつんと私の机が置いてある。
ほんと、だるいわ。
このまま授業をサボってやろうとも考えたが、それではあいつらの思うつぼだと思うと、悔しくなってやめた。
あーまじ、この机汚ねぇし、重い。
西条ゆか、高校1年。
中学からずっといじめを受けている。
あだ名は、うらなり___

教室に戻れば、うるさいハエ共が私に罵声をあびせる。
もういいよ。分かってる。
でも、いつもよりその声が小さいのは、気のせいじゃないだろう。
クラスの真ん中に、小瀧望が座ってるから。
小瀧望は、学年イチのモテ男で、男女共々からモテる。
だから小瀧がいれば、いつもよりはマシだ。
女「望くんおはよぉ♡」
あ、人変わった…
きっと、私の辛さなんてちっとも知らない。
まあ、知ってもらわなくてもいいんだけど。
怜央「さいじょーさん、1限なに?」
また、長妻怜央だ。
こいつもかなりモテるはずなのに、毎日毎日構ってくる。
ゆか「確か、物理。」
これ以上私といたら、おかしな事に巻き込まれるだろうに。
怜央「移動教室じゃん、やべぇ」
ほんと、何考えてんのかわかんない。
小瀧望とウザいクラスメイトも徐々に移動を始めた。
次の授業は、爆睡しよう。

いつの間にか授業が終わり、特にいつもと変わった事もなく1日が過ぎてゆく。
?「そろそろ鍵閉めるから出てくれへん?」
私以外誰もいないはずの教室に独特の関西弁が響く。
…小瀧だな。
ゆか「ごめん。すぐ出る。」
私は急いで荷物を整理した。
こんな状況誰かに見られたら、また叩かれるに決まってる。
望「別に追い出すつもりないで?」
人の心を包むような暖かい声が再び響く。
でもこんなの、どうせ私を丸め込む罠だ。
ゆか「あれ…」
長妻怜央のタオルが私の机の下に落ちた。
もしかして、寝てたところにかけてくれたのか?
いや…そんなはずはないか…
望「西条って、長妻と仲いいよな〜」
ここにも、いた。
私のことを名前で呼んでくれる人。
ゆか「別に。」
いままでまともに喋ったこともなくて、知らなかったけど。
また教室を静寂が襲い、気まずくなる。
望「俺帰るわ〜じゃあ、また明日!」
小瀧が初めてかもしれない。
私に明日会うことを、望んでくれる人。

長妻のタオルを机に置く。
何考えてんのかわかんないよなー、あいつ。
ブー
自分のスマホが鳴った。
『早く帰ってこい』
あぁ、お母さんからだ。
私は急いで支度をすると、自分の荷物を持って廊下に飛び出した。
私の教室は三階。
飛び降りれば、早く着くのかな。
なんて、悪い考えをしてしまう。
でも、私には飛び降りる勇気さえもないんだ。
階段を駆け下り、もう少しで一階に着くって思ったとき。
その時だった。

バンッ

ゆか「うぁっ…」
?「いたっ…」
この時、私の人生は360°変わったんだ。

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