アルスマグナの後輩になる話。

□みんなでつつく冬はおいしい?
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寒さが本番となった12月の末。

ワタシとなった、雲は一人、パソコンに向かっていた。ひっそり趣味で絵を描いている。高校でやっと買えたパソコンとペンタブレット。暇な時は、基本絵を描くようになった。
僕。から私。なったので髪は普通に長い。それをひとまとめにして、ブルーライト対策で買ったメガネを装着している。
学校や動画では僕。として振る舞っている私にとっては誰にも見られたくないプライベート。
正直、一人には見られているのだが。

ピンポーン・・・

部屋のチャイムが鳴った。


「はーい」

「チアキだよー。コタツ入れてー」

「はいはーい。」


実は私の部屋にはコタツがある。部屋はそのせいでいっぱいいっぱいだったりするが。
もっちーこと、チアキはよくコタツにはいりにくる。そこでいろいろお話をする。
同じチームであるもっちーにはプライベートな私。はもう見せている。今更、隠すこともない。
と、ガチャリとドアをあけた。


「いらっしゃ・・・

「おっじゃましまーす!!!」

・・・いませんでした。」



ガチャリ。

・・・あれ?ん?もっちーってあんなにいたっけ?

つい、反射で勢いよくドアを閉めてしまった。
もう一度、確認するためゆーっくり、出来るだけ小さく顔を出した。


「おっ!今日はフツーにオンナノコなんだな!」


と、神生先輩。


「おじゃまします」


と、泉先輩。


「酷いよ!僕らがくるのそんなに嫌?」


とパク君。


「やっほー!遊びにきたよぉ!」


と、タツキ先輩。


「こーんーにーちーはー」


と先生。

そして、遠くの方から手をあわせるもっちー。
私はいまだにこれを理解していない、というかしたくない。


「おっじゃましまーす!!」


理解できていないまま、部屋に突っ込まれた。


「うぇ?なんでだ?どっ、どーして!?」

「・・・ごめんな。サク。みんながどー
しても、コタツに入りたいってゆーから・・・」

「・・・はぁ!?こっ、こっちはプライベートなんですぅ!
今は私。なのぉ!
どーして休日まで僕。になんないといけないんですかぁっ!?」

「べっつに、無理に男になんなくてもいいよ。てか、むしろなんな。」

と、さっそくコタツに入った神生先輩が言った。


「うぇぇ・・・、そんなぁ・・・っ」

「いや、ホントにごめんって。」


もっちーがホントに申し訳なさそうに頭を下げている。


「・・・これからは、事前に言って下さいね。」

「あざっす!!」


なんやかんや言って、私は彼らに甘い。大抵のことは許してしまう。


「あの、すいません。お茶とか出せないんですけど・・・」

「あー、気にしないで上がりこんだのは先生達だから」


一応上がりこんだって気持ちはあるんですね。


「・・・よし。おーいサク?」

「はーい。なんですか?」

「今日さここで、やってみっか企画撮るからね。映るとマズイもの、しまっといて。」

「・・・え?」


そんなの聞いていない。聞かされてもいない。
先生も今まで言おうともしていなかった。
というか上がりこんだ他人の部屋で動画撮っちゃうんですね・・・。


「あれ?聞いてない?・・・あ、そっか言ってないわ。ごめーん。」

「・・・ういっす」

「今回は、みんなで鍋を作る企画でーす!」

「イエーイ!!」


タツキ先輩と神生先輩とパク君は既にテンションが高い。まだ、カメラ
入ってないですよね?熱いぜ。


「よーし、お前ら準備にとりかかれー!!」

「おー!!!」

「・・・おー」

「・・・おっ、おー!!」

「勝手すぎませんかぁっ・・・?」


私の思いなど、乗り気な四人には届かず、まともそうだった泉先輩にももっちーにも届かず、着々と準備がすすんでいった。
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