アルスマグナの後輩になる話。

□ほしいと思うと、他に手が回らない。
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2月14日、バレンタイン。

僕が思う一般的なバレンタインは、女の子が照れながら

「好きです!」

とか

「一生懸命作ったんです!」
とかほのぼーのした光景があちこちで見られる日だと思っていた。
いや、そうだったのだ、中学までは。
どうやらここ、クロノス学園では違ったらしい。


2月14日の朝。

いつもの通り学校へむかい教室へ向かった。
途中、ほのぼのバレンタインを見つければ、あぁ、いよいよバレンタインかぁ。
とおもう。クラスのみんなはどうだろうか?少しワクワクしながらドアを開けた。


「おはよー・・・ぅ?」


そこにはおびただしい数の人。
1Bってこんなにいたっけ?とりあえず自分の席へ向かう。
僕の席は窓側にあり右にパク君ともっちーがいる。
なお、パク君ともっちーは朝からチョコ受け取りにひっしだった。


「頑張って作りました!食べて下さい!」

「うん!ほんとカムサハムニダ!!」


「あのっ、これっ」

「・・・ありがと」


チョコを渡す女の子達に緊張の様子などみられない。

とりあえず、渡せばいいや!

なノリである。
予鈴がなりHRがちかづくと人は少しずつ減り、残ったのは山盛りのチョコだけだった。


「・・・朝からもてもてですね。」

「盛大な嫌味としていただきます。どうもありがとう。」

「さすがに、きつい」


もらった二人がもうねをあげた。


「これ、どうしよう。」

「いや、食べるんでしょ?」

「だよなぁー・・・」


チョコが多すぎという悩みはきっと男子が一回は体験したい悩みだと思う。

僕のいるダンス部は今や学園の人気者が集まる部となった。
そりゃあ、いただきますよね。
知っています。

僕もダンス部。

といえど、やはり体は女子なわけで。
どちらかというとあげる側にあたる。
なぜなら、朝から一回ももらっていない。
少し昨日期待したんだけどなぁ。

まぁ、もらえないのならしょうがない。この、事実を受け入れるまで。

ただ、ひとつ。

気がかりなのは。
ワタシが彼らに作ってきたモノを、彼らが喜んで受け取ってくれるかだ。
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