大空
□標的3
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放課後になり職員室に行っていたニナは教室に戻ろうと一階の渡り廊下を歩いていた。
「あ、沢田さんじゃん!」
「おぉ!本当に小さいなぁ〜」
「えと…」
失礼な!と心の中で叫び声をあげる。(あくまで心の中)たまにいるのだ、こうして私の身長でからかう人たちが。ちなみに知らない人だ。会釈をして校舎裏を通って教室に戻ろうと渡り廊下から外へ出る。後ろから声が聞こえた気がしたけど無視だ。
「なんなのよ、もう」
「目に余るやわさだぜ」
ビクッ
後ろ姿だったけど銀髪は見覚えがあるシルエットだ。お昼の時間に話題になっていた彼はー
「獄寺君…?」
一体何が”目に余るやわさ”なのだろうか。挨拶からつっかかってきて挙句の果てに授業中ずっと私に睨みをきかせてくるのだ。そして先ほどの言われよう。これは関わらない方が賢明なのではないだろうか。思ったら即行動だ。
「それじゃあ、またね獄…」
「お前みたいな女を10代目にしちまったらボンゴレファミリーも終わりだな」
踵を返そうとした直後の事だった。いま彼はなんと言った?
「なんで獄寺君がファミリーの事を?」
”ボンゴレファミリー”
つい最近聞いた名称だ。思い出すには容易く、そして一番思い出したくない出来事がニナの頭をよぎる。そう、あれは暴君家庭教師がうちにやってきた日の事だった。