大空
□標的7
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「よおニナ」
「おはよう武君」
学校の正門を通ると武君が声をかけてくれた。登校時間が私と一緒と言うことは今日は朝練がないらしい。
挨拶をすると彼には珍しく口を開けたり閉じたりして何かを伝えようとしていたがようやく意を決したのか重たい口を開いた。
「…ニナさぁ、転校生と付き合ってるって本当なのか?」
「転校生って…えっ!?
いやいや、獄寺君に失礼だよ!」
頭をフル回転させ、転校生=獄寺君と認識したニナは間髪入れずに否定した。
すると彼は安心したように表情をくずした。
「そっか!わりーな、変なこと聞いてよ!」
「大丈夫だよ
もしかしてそういった噂がたってるとか…?」
それはまずい。獄寺君にはファンクラブ(本人非承認)があるし、ちょっと校舎裏までーとかそういったゴタゴタでベタな展開は平凡な暮らしを望む私としては避けたい事態だ。
「転校生のやつ、無愛想っつーかガン飛ばしたりするけどニナにはそんな事ねーじゃん?オレもてっきり付き合ってるとか思ってたけど」
「そうなんだ…
ただ人見知りが激しいだけだと思うけど」
まさかマフィア関係なのだと武君に説明できるわけない。
そういう噂がたってるんだー、と肩を落とすニナに山本が軽く小突く。
「ただの噂ならほっときゃいいんだよ。だから気にすんなって!なっ!」
「…ありがとう武君」
ニカッと笑う山本につられ、ニナもはにかむように微笑んだ。