長編小説
□10代目の物語
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人は死んだらどうなるのか?
私はずっと生まれ変わるものだと思っていた。生前の記憶を洗われて新しい魂となるのだと。
そんな勝手な想像が今、現実となってしまった。
母親と思しき人に名を呼ばれた時にすぐにピンと来た。
「あなたの名前は綱吉、沢田綱吉よ!」
ただの生まれ変わりではなく、
成り代わり−まさかREBORN!の世界の主人公に成り代わってしまうなんて、一体誰が知り得るだろうか?
そして今頃気づいたが、私はいつの間に死んでしまったのか…
いや、生まれ変わるということは死んでしまったということなのだろう。しかし前世の記憶があるなんて厄介なものだ。
「(頭痛くなってきた…)」
この世界で平和に、平凡に生きることはできないのだと悟って、これから忙しくなるであろう毎日を思うとウンザリした。
追々このことについては考えることとして、今はたくさんの事が重なって疲労を感じたから眠ることにしよう。(疲労とというより、ただ単に赤ん坊だから眠いだけなのか…?)
そう思いながら私は重い瞼を静かに閉じた。