坂田さん、おじゃまします。
□三日目
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「…っのわッ!?」
「危ねッ!!」
ゴミ出し。
早朝で仕事で疲れていたのと睡魔も重なってふらふらしていたら入り口の段差につまづいた。
あ、死んだ。
と勇者ばりに滅亡を感じていると誰かに支えられた。死んでない。
「余所見してんじゃねーよ…唯一の片目潰れんぞ……」
「…土方」
もう一人のお隣さん。
俺が引っ越した時からいてここの周辺を教えてくれたり水道が壊れた時も業者に問い合わせてくれたり色々お世話になったある意味有難い人。
この通り俺は片目は眼帯で視野も狭い。それにプラス朝帰り、睡眠不足でふらついていたら死んでたかもしれない。生きてるけど。
まったく、とお前は少しは防衛本能を身に付けろとか自分をもっと大切にしろとか母親の様に叱られた。
どうして俺の友人は世話焼きが多いんだ。
一応助けて貰ったけど適当にあしらってゴミを捨てる。
「高杉、この前俺のトコに充電器忘れてったろ」
「あ?そうだったか?」
「おう、だから折角だし取りに来いよ」
「今日は休みなのか」
「緊急時に出るぐらいだ」
土方は大きな病院で医師をやっている。だからやたらと健康管理に煩かったりきちんと睡眠をとれだのねちねち言ってくるのだ。
ただ、風邪を引いた時や怪我をした時はやはり世話になるばかり。
医師なだけあって手際も良いし丁寧(だと思う)
「なんなら家で寝てくか?」
「ん…どうすっかな」
「遠慮すんな」
コイツの家にあるベッドめちゃくちゃふわふわで寝心地いいんだよな。
枕とか中々良い固さで…
ん、ふわふわ?
「なあ、」
「ん?」
「新しく、越してきた奴って土方もう知ってるか?」
「いや…見かけてすらも……」
「しーーーんッすけ!」
噂をしてれば、キタ。
突然の激突にぐえっ、と蛙の潰れた様な声が出てバランスを取るのに必死だった。
倒れる倒れる。