坂田さん、おじゃまします。

□二日目
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「あ、おはようございます高杉さん」



げ。


「仕事柄もあって朝帰りなんですね」

にこにこにこ

ベランダでタバコを吸おうと出たら洗濯物を干しているお隣様(笑)と遭遇。
何せコイツは昨日一夜だけでちょっと変人っぽいイメージがついたからあまり関わりたくないのが本音だ。
安物物件のため、ベランダ同士がかなり近いのも困ったモノ。
大人がジャンプしたらこっちに来れそうなくらい本当に近い。
つーか跳んでくる勇者いねぇだろうよ。ここ一応五階。

ひょっこりと顔を覗かせてきて明らかに不機嫌に顔を歪める俺をからかってんだか何なのか笑顔で見てくる。
はっきり言って怖い。


「あ、そうだ。実家から届いたんですけど高杉さんにもお裾分けしますね」

「農家か何かか?」

「いえ、実家っつーか恩師なんですけどね。趣味で育ててるらしいんですよ。相変わらず足腰が強いもんでね」


相撲とかの取っ組み合いで勝った事ないんですよーなんて楽しそうに話す姿はちょっと意外。
ご機嫌に天パを揺らす所を見ているともうどうでもよくなってきた。


「甘くて美味しいんですよ」


ネギ。

「一番いい食べ方は味噌汁か納豆らしいです」

生でイケってか。

三本くらい袋に入ったネギをちらっと見る。それこそ青くてスーパーの何かよりも確かに綺麗な気もする。
俺も別に農家じゃないので見てもふーんすごいなしか思えないのが少し残念。


「おい、お前仕事とかどうなってんだ?」

「え?ああ、明日から営業開始です。今は従業員というか助手がいろいろやってくれてるんで」


コイツ人雇ってんのか。


「…ならお礼と言っちゃなんだが茶でも飲んでかねぇか?」


「いいんですか?」

「いい茶葉が入ったんでな」


着替えて行きます!と凄い勢いで引っ込んでいった。
昨日は社長令嬢が来てアッサムを貰った。本格的に淹れると時間がかかるのでさっさと準備するか。
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