小説っぽいの2

□かき集め
1ページ/3ページ

先生が、殺された。









突然襲われて、

緑の太いホースで首を絞められたらしい。



みんなで泣きじゃくった朝。

いつになく憂鬱でやる気がでない。




目を瞑れば瞼の裏に焼き付いた先生の姿。


そういえばそうだった。

俺の目の前に突然現れて、
何もなかったかのように消える。


そんなのって、なんか俺が負けたみたい。

先生、ずるい。



「銀時?」


赤く目を腫らした高杉。

いつものやんちゃっぽさというか喧嘩腰なのが抜けてお互いにこそばゆい。


何も言わずに俺の隣へちょこんと座る。


暗い顔のままヤクルコを差し出して「お前の分だ」と悲しく笑った。




考えてみれば、こいつは先生の背中を追っかけて、

恩師として、

憧れで、



ただそれしか眼中になくて、


無邪気に笑っていたのに。



どうしてこの世界は奪ってしまったんだろう。



俺も高杉も何も話そうとせずにヤクルコを喉に流す。

なんでか、先生がいなくなる前までは高杉と喧嘩できたのに、


ヤクルコだって美味しかったはずなのに。



「……分からない」



「……っ」


先に沈黙を破ったのは高杉の方で、

あんだけ泣いたはずなのに涙は枯れる事を知らなくて。


高杉の頬をつうっと濡らした。


「高杉……っ」




「銀時、銀時……俺わかんねぇよ」



「………」



「大切、なんだろ?命って……消えていい、とか…死んでいいなんていう命はないはずだろ……!?」



「高杉…」


「それなのにっ………!!」


そういえば、


「人を殺そうとする奴の心理が分からねぇッ………」



高杉が泣いたのは俺が見る中では初めてだった気がする。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ