おてんば姫とさすらいの剣士

□冒険の書 1
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気がついたとき辺りはオレンジ色に染まっていた。


小屋の中にあった旅の扉に立っていたはずなのに、草原の上にオレンジ色の髪の少女、アリーナは寝転んでいた。


これでも一国の姫、アリーナ。
クリフトと一緒に第二の冒険を始めて早半年。
世界は勇者一行の活躍により魔王は倒され平和になり魔物もデスピ…、ピサロと共に魔界へ帰っていった。
魔物もいなくなり人々には笑顔がこぼれた。


のだが、アリーナにとってそれはとても退屈なものだった。
冒険を始めたはいいものの歩いても歩いても魔物とは会わない。
町で開かれているちょっとした武道大会に出場して腕試しをするだけ。しかも、アリーナには大人でも敵わなかった。


国のみんなを守るため強くなりたいと父のサントハイム王に願い、旅に出たのにちっとも強くなんかなっていないような気がする。


どこか、私より強い人間はいないのかな。
私は強い人間が好き。戦ってみたい。

というようなことを考えるようになっていた。



クリフトがどんなことを思っているのか、鈍感なアリーナが気づくこともなかった。






「それより、ここどこなのよ。クリフト…、クリフト?」



返事がない。
てっきり横にクリフトがいるのかと思いきや、横にあったのは大きな丸太。


思い切り蹴飛ばしたら少し離れた茂みに丸太は飛んでいった。
さすがは暴力…おてんば姫。


「はぁ、何なのよ…。クリフト旅の扉入ってないの…?」





周りを見渡すと東の方角に大きな山々が見えた。

あの山の麓に行けば誰かが住んでいるかもしれない!
きっとクリフトもそこにいるはずよ!
…何の根拠もないけれど。でも行ってみなきゃわからないわ!


そう思い、歩こうとしたその時。


目の前に3体の魔物が現れた!
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