ビストーマ魔術
□四章
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昔の事を思い出した陽は
「ははっ…兄さんに騙されるところだったよ…」
陽の言葉を聞き兄は陽を見て
「何言ってるんだ陽」
「俺はあんたを許さない…だから捕まえる!」
「…チッ…俺を捕まえる?それは無理だね」
懐から拳銃を取り出せば数発陽にめがけて発砲すれば油断していた陽は肩に太股、脇腹に当たってしまいその場に崩れそうになるが膝をつき相手を睨み付け片手を伸ばし
「拘束縄」
「何ッ?!」
見事相手に命中し手足をきつく縛れば手から拳銃が落ち、陽は息を吐き油断していれば
「ァアアアッ…!」
急に左目の眼球が傷み手で押さえて相手を見ようとするがそのまま意識がブラックアウトし
「君には悪いけど、そう簡単に捕まると困るからね」
クスクス笑えば翔の縄が解かれそのまま姿を消した。
それから数分後
「…間に合わんかったか…すまんな…」
一人の男性が現れれば陽を抱き抱えそのまま転送術で消え
「はぁ?!何やねんこれ!中に入れへんやんか!…おい!お前ら誰か近くにおんねやろ!勝手に出て来れるんはしっとんねんからさっささと出てきてこの結界壊せや!」
「誰よ、陽じゃない人間が私達を呼ぶのは」
「その主人が死んでもええんか?はよ結界壊せや!」
「…ッ…陽?!」
出てきた一人の女性の姿をした精霊獣が現れ、結界を見て舌打ちすれば
「何でこんな何重も結界を張ったのよ…」
ブツブツいいながら1つずつ結界を壊していき
「治療するんでしょ。早く陽を運びなさい人間」
「ほんまお前らチートすぎやろ…」
ぼそりと言えば建物の中に入り何処に運べばいいのか分からず何回か行った事のある部屋に向かい
「おら、お前ら!はよ治療班呼び!」
ドアを蹴破れば中にいた数名に怒鳴り込み
「…剛さん?…それに……陽?!何があったんですか!?」
「話は後や!治療が先やゆうとるやろ!…俺も無駄に魔力使いすぎて疲れたわ…」
入った部屋が第一部隊であり各自言われた通りてきぱきと動きだせば一人が布団を持ってきて、そこに陽を寝かせれば剛は床に座りぐったりし、それから数分後駆けつけた第三部隊と第二部隊が現れ
「隊長!!」
「陽君!」
「お前ら邪魔だ!治療が出来ないから離れろ!」
第二部隊全員が陽に駆け寄れば第三部隊の隊長が怒鳴り全員を離れさせ
「酷いなこれは…時間がかかりそうだ…」
第三部隊の隊長が言えば女性の精霊獣が聞き
「役にたたないわね。…ユニ、出てきなさい」
「どうしたのルル?」
「陽を治しなさい。貴女なら出来るでしょ」
「陽?…あらら何でこんな怪我してるかな。本当バカね」
ユニと呼ばれた女性がルルと一緒に陽の所に行き
「貴方達邪魔よ」
「誰だ君は!」
「本当人間って煩いわね」
ユニがぼそりと言いながら1つずつ陽の負った傷を見ていき最後に目を見れば
「ルル、目以外は銃で撃たれた傷だけど目が厄介だわ」
「どうゆうこと?」
「陽の目に監視魔術がつけられてるわ。術を解いても私の力でも陽の左目はもう見えないでしょうね」
「…そう…陽には悪いけど監視される前に術を解きなさい」
「仕方ないわね。…陽が目を覚まして見たものは相手にも伝わっちゃうからね」
二人のやり取りを聞いていた全員は呆然となり、楓が二人に話しかけ
「どうにか見えるようにはならないんですか?俺の目を使ってくれてもかまいませんから。お願いします!隊長の目を見えるように…」
楓が頭を下げればユニは溜め息を吐き
「貴方はバカね。そんなことで見えるようになってたらとっくに私の目を使ってるわ。もしそんな事しても陽は喜ばない。苦しむだけよ」
話は終わりだという風にユニは治療にとりかかり、一瞬にして傷は治るが目の魔術を慎重に相手に気づかれないよう術を解いていき数十分経てばユニは息を吐いて
「これでいいでしょ、ルル」
「えぇ。ありがとう、ユニ。で?貴方は何故陽がこんなことになってるのか知ってるのかしら?」