ビストーマ魔術
□二章
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その後、第一部隊からの連絡もなく第二部隊は陽が見守る中、真剣に訓練生とともに訓練に励み、とうとう陽の高校入学の日になった
「ふぁ…やっと俺も高校生になれた」
欠伸をしながら入学式を行う鹿鳴館の中の指定された席に座りながら呟き、それを隣で聞いていた中学から同じクラスで仲の良い人物が呆れながら陽を見て
「白夜ってよくあれだけサボってたのに入学出来たよな…テストもギリギリなんだろ?」
「それ、まっつんに言われたくないよ。まっつんだって高校でも俺と同じ0クラスな癖に」
「うるせーよ!俺はこれから力をつけてトップになるんだから!」
「がんばって〜。俺は自由に生きたいからいまのままでいいや」
「本当お前って変わってるよな」
話ながらも入学式が始まり、校長の黒じーが話してるときはボーと眺め、他の教師の話と注意事項になれば長すぎて話を聞き流しているといきなり会場内がキャーキャーと騒がしくなり陽はビックリして、隣にいる松原に何がおこったのか聞き
「まっつん、まっつん…この騒ぎ何?」
「お前知らねぇの?今舞台にいる二人が今年の生徒会長の斎藤 誉(さいとうほまれ)先輩と風紀執行部長の柊 迅(ひいらぎじん)先輩だよ。この学園で最強と言われるトップ二人だし、何でも噂ではあのビストーマの第二部隊の訓練生に選ばれたとか。他にも何人かビストーマの訓練生に選ばれてるらしいけど。かっこいいよな〜!」
「ふぅん……凄いんだね?(だから見たことある顔なのか)」
「お前絶対わかってないだろ!因みに俺達0クラスは問題児扱いらしくて寮の相手が執行部の人達らしいぜ?」
「げ…マジ?!最悪…俺今まで一人部屋だったから緩い人がいいなぁ」
「お前が一番問題児だから無理だろうな」
「うるせーよ」
ケタケタ笑いながら話していると式も終わり各教室に戻り案の定担任は安部になった。0クラスの皆は不思議がっていたが安部は0クラスを差別しないためクラス全員喜んで、明日から授業がはじまると伝えられてから学校は終わり、寮に戻っていく。
寮に行けば受付でカードキーを貰い、寮官が新入生全員に使い方を教え、お金と学生証になる為絶対に無くさないよう厳重に言われてから、一人一人部屋の場所を教えられ同室は1年間先輩となると言われ、先輩に学園の事を教えてもらいなさいと伝えられるが、案の定0クラスは執行部と同室と言われ問題等おこさないように注意され、荷物は部屋に届いているからと聞かされてから各自部屋に向かう
「楽な先輩だといいなぁ…」
部屋の前に着けばカードで扉を開け自分以外の靴を見てから陽も靴を脱いで中に入り
「へ〜…案外普通…でももう少しシックな雰囲気にしたいなぁ…」
「文句を言うな。お前が白夜か?」
後ろから急に声をかけられ振り向けば
「げ…さっき目立ってた人…最悪だ…」
「最悪とは何だ。お前が0クラスなのが悪い。だから指導を俺達がするんだよ。」
「さいですか」
「自己紹介がまだだったな。俺は3年1組の柊 迅だ。」
「俺は……ってちょっと待っててください。通信が入ったので」
「わかった。出ていいぞ」
「すいません。……はい」
『陽隊長ですか?至急御伝えしたいことがありまして、今よろしいでしょうか?」
「あ〜…ちょっと今人がいるから切らずに待っててもらえる?」
『畏まりました』
「先輩すいません、ちょっと家から緊急事態の連絡なので席を外させてもらっても宜しいでしょうか?」
「わかった」
「では、すぐ戻れると思いますので失礼します」
部屋から出ていき人が居ない屋上に向かえば辺りを見渡すも部屋から出てから監視されてるのに気付き自分のみに防音結界を気付かれないように張り
「遅くなってごめん。で、何があったの?」
『いえ、大丈夫です。先程街の入口近くに魔獣が現れました。全部で3体、レベルは下級4が1体と下級5が2体です。結界を張って封じましたがどうしましょう?このレベルなら俺達第一部隊でも討伐は出来ますが…」
「なら、怪我だけはしないようによろしく。あと、ちょっと気になるから殺した後、3体ともの血液をとってくれる?2個は俺に後から渡して、残りの1個は第六部隊に調べさせといて。後は血を抜きとったら灰になるまで殺しといてね。くれぐれも煙は吸わないように。命が危ないかもしれないから」
『了解です。……しかしなぜ出るのに時間がかかったんですか?』
「ちょっと監視されててね。潰しとくから大丈夫だよ」
『そうだったんですか…すいません、学園にいるのわかってて連絡してしまい…』
「いや、連絡されないと困るのはこっちだから気にしないで。じゃぁ後はよろしく」
『はい!』
通信を切れば監視していた精霊に記憶を操作して、寮の部屋に戻っていき
「戻るの遅くなってすいません」
「家からの緊急事態の連絡は大丈夫だったのか?」
「はい。今はまだ大丈夫だと思うんですが次連絡があれば暫く学校に来れないかもしれませんね…入学する前に理事長に説明して許可は得てますので」
「そうか」
「では俺は用事がありますから出掛けてもよろしいですか?」
「あぁ、俺も行くところあるから」
「そう言えば噂で聞きましたよ?ビストーマの訓練生になったとか。先輩は優秀なんですね?って事はこれから訓練に行かれるんですか?」
「……いや、優秀なんかじゃない…まぁ、そうだから戻ってくるのは遅いと思うが、俺がいないからといって変なことを起こすなよ?」
「大丈夫ですよ。俺が問題児されてるのは授業で寝てたり遅刻したりだからですし。」
「まぁ、そんな感じだとは思ったが、やっぱりか…なら時間も無いから俺は行くからな」
「はいはーい。行ってらっしゃい」
柊が出ていくのを見てから陽も隊服に着替え転送術で一足先に着いたのであった
第二部隊訓練場に着けば全員の訓練を見て
「涼君、おつかい頼める?」
呼ばれた涼は一旦訓練を中断し陽の元に行き
「隊長来てたんですね。おつかいって何ですか?」
「第一部隊に行って、俺に連絡してきた人に俺が来た事を伝えて渡された物を持ってきてくれない?無くしたり壊したりしたら…わかってるよね?」
「そんな脅さないでくださいよ…ちゃんと持ってきますって」
「よろしくー」
涼が出ていけばアティスを呼び出し、陽の隣に現れれば隊員達は嫌な予感がして後ずさりし、タイミングよく訓練生全員が訓練場に来て
「アティス、ちょっとだけ待っててくれない?今おつかい頼んでてそれ持ってきたらアティスにお願いがあるから」
「まぁいいけど。なんとなく呼び出された理由がわかった」
「ありがと。助かるよ。って事で全員逃げずに集合。涼君が帰ってきたら全員に話があるから。」
((またあの悲劇が起こるのかと思った…))
そんな事を思っていた隊員達以外の訓練生はアティスの姿を見て
「隊長、その人は誰ですか?」
「アティス。俺の仲間だから気にしなくて良い」
「はい…」
訓練生は何故連れてきたのか気になっていたが、おつかいから戻ってきた涼は
「隊長、言われたものを持ってきまし…た…」
アティスの姿を見て以前の恐怖を思いだし渡したくても体が動かず
「涼君、時間も無いから早く持って来て」
「は、はい…こちらになります」
「ありがとう。じゃぁ皆の所に行っていいよ。アティス、これ1つ渡すから解析お願い。あと、この解毒剤が使えるかも調べて。時間は二時間で。戻っていいよ」
「はいはい。んじゃぁ2時間後にまた報告くる」
そう言ってからアティスは消え陽は全員を見て
「実験体希望者いる?」
「いやいや、隊長、酷いこと人にしないでくださいって!」
「ちっ…わかたよ。ならまた鼠か…」
パチンと指をならし籠に入った鼠が現れ、先程渡された物を注射器で打ち、すぐさま解毒剤も打ち様子を見るがあまり効果が出ずもう一度解毒剤を打てば効果が現れ
「毒の調合は多分変わってないかもしれないけど、解毒剤は有効ってわかればいっか。」
それを聞いた楓は疑問に思い
「何故解毒剤があるのにそれを魔獣に打たず殺すんですか?」
「言ってなかったっけ?大量に毒を摂取すれば、体内に毒がまわるのは早い。摂取してすぐ解毒剤を打てば効果はあるけど、その解毒剤の量も間違えれば死にいたるんだよ。」
「ならほぼ不可能って事?」
「そうだね。毒を摂取されたら数時間は苦しんで動けないし、動けた時点でもう毒はまわって完全に魔獣になってるから助けることは無理。皆は傷口に少量だったから時間がかかっても助かったけどね。晋くんが連絡しなきゃ死んでたし、第三部隊に邪魔されて俺が放置したらもうこの世にはいなかったよ。助かって良かったね?」
「「すみません、助けてくださりありがとうございました!」」
「まぁ、それはもういいとして、これから忙しくなるよ。さっき第一部隊から報告がきて下級レベルだけど3体現れたから。」
「下級レベル?でも1年前に森に居たのは中級レベルでしたよね?何故今回は下級なんでしょう…」
「憶測だけど、1つはアティス達に頼んで気を付けるよう頼んだから、逃げ遅れた下級の精獣が狙われた可能性がある。2つめは現れた場所が街の入口近くだった。だから俺達が行くより第一部隊に今回の討伐は任せたわけ」
「街…ですか…なら本格的に動き出すって事?」
「そう、かえちゃん正解〜!てな訳で俺が居ない間はかえちゃんに任せるけど、少しでも危険と感じたら連絡はしてね?で、訓練生の方はどう?任務に使えそう?」
「隊長にはあまり迷惑はかけたくないけど、魔獣が現れた時点で連絡はします。訓練生は中級2までならグループを組んで任務は可能かと。」
「そう。なら隊員五人につき訓練生をわけてグループ作っといて。皆はあれだけ言ったからしないだろうけど、訓練生はくれぐれも勝手な行動をおこすと任務から外すから。いや、除隊も覚悟しといてね。じゃぁかえちゃん、第六部隊の隊長に連絡して今すぐ報告来るように伝えて」
「はい」
楓が連絡している間にアティスが現れ
「結果どうだった?」
「以前の毒と作りは替わりないけど、毒の濃さが多くなってるから、打たれたら数分で魔獣になるな。試しに解毒剤も使ったが、少しでも毒を貰えば通常の2倍は摂取しないと助からない。」
「ありがとう。厄介だね…解毒剤を作る量増やさなきゃいけないかもね。」
「他の奴等にも報告しとくか?」
「そうだね。なるべく精獣と精霊しか入れない結界を作ってできるだけ保護するよう伝えといて。あと、ニックを呼んできて。」
「それは構わないけど、あいつが暴走したらどうするんだ?」
「暴走したら俺が半殺しにするって伝えればいい。」
「…ならあいつも大人しくなるな。なら伝えてくる」
アティスが消えて3分後にニックが人の姿で現れ
「俺に用か?リークが怯えてたぞ?」
「ニックが居なきゃリークは好き勝手するでしょ?だからだよ。ニックにはこれから上空で見つからないように監視しててくれない?」
「それは良いが、上空からだと見落とす可能性もあるぞ?」
「それは第一部隊もいるから問題ないよ。移動距離的にはニックの方が早いからだいたいの監察でいいよ。何か疑問に思ったら報告して」
「はいはい。後でしっかりいつもの報酬は貰うからな?」
「俺の仲間達はなんでこんな我が儘ばっかりかな…」
「お前が俺達をこき使うからだろ。まぁいい。事情はアティスから聞いたから俺はもう行くぞ?」
「よろしく〜」
ニックが消えれば豹雅が陽に聞き
「アティスさんは知ってますが先程のニックさんは…?」
「俺の仲間。」
「隊長の契約してる人数って…」
「多分12人だったかな?」
「もしかして全員神級だったりします?」
「豹雅君はバカ?神級は9体しか居ないって習わなかった?」
「確かにそうですけど…」
「機会があれば俺の仲間に会えるよ」
話してると第六部隊の隊長が現れ
「おそくなってごめんなぁ。結果だけど、解毒剤は使えそうっすよ。ただし毒の効き目が早すぎて解毒剤は二個も使わないとダメでしたわ。解毒剤無駄にしてしまった…」
「いや報告は完璧。俺達も調べたから。毒の量増えてるみたいだから、至急解毒剤を大量に作っといて?前は1つで足りたけど今回は二個摂取しないと無理みたいだから」
「え…なら休む暇ほぼ無し…?」
「嫌なら討伐隊にきてくれてかまわないよ?」
「それだけは勘弁っすよ!薬作ってる方が全然マシっす」
「そう?なら1年前から作ってるからそれなりにはあるだろうけど、なるべく大量に用意しといてね?」
「はいっす。なら隊員達にも伝えないといけないからもどるっすよ?」
「頼りにしてますよー」
隊長を見送り
「そう言う訳で、全員怪我しないようにね。今回は怪我したら時間との勝負だから。…無茶して報告しなかったら今回は確実に死ぬと思ってね?」
「「了解っす!」」
「なら今回の報告は終わりだから。そういえば訓練生で学生も中にいるんだったよね?何人居るか、かえちゃんわかる?」
「確か第二部隊は30人程かと」
「そう…なら学生は任務参加するのは学校が終わり次第だね。任務だからって学校をさぼるのは許しませんから」
((隊長も学生だよな…?))
そう思った第二部隊は、危ないときは陽がいないと危険だからいいかと納得し、明日からの訓練は体力をあまり消耗品しないよういつでも動ける体制でいるようにと言われ解散となった