ビストーマ魔術

□二章
2ページ/11ページ


第二部隊の実戦場基、訓練場につけば扉をバンッと開け

「かえちゃん!明日から訓練生が来るなんて俺聞いてないよ?!」

「陽君、その呼び方は止めてと言ってるじゃない」

「かえちゃんはかえちゃんでしょ!それより訓練生って何?!」

以前の出来事からビストーマ内では陽を尊敬し慕い、全員が敬語で話す為、それが嫌だった陽はフレンドリーに話すよう頼んだ結果、更に仲が深まり決断力も高まった

「この前の会議で聞いてなかったの?」

「副隊長〜、この前の会議で隊長は寝てたっすよ?」

「あ、それ言うなよ!」

「はぁ…だからあんなにおとなしかったんだ…明日から300人程テストで受かった人が訓練生としてくるんだよ。隊分けは明日、各隊の隊長、副隊長が審査して決めるから、忘れずに参加してよ?」

「え?300人?!俺が聞いたのは60人って言われたんだけど…」

「あぁ、確か学生からは60人ぐらいだけど…そういえば隊長はもう高校生なんだっけ?なら学園でも有名になるね」

「それは嫌だし顔もバレたらやばいから…はい、かえちゃん」

顔全体を隠す目と口元だけ開いた真っ白の仮面を渡し

「え…これからこれを着けろと…?」

「うん、各隊の隊長と副隊長はね!って事で第四、第五部隊の隊長さん達も明日は着けてね?第二部隊に居る間はバレないように外してくれていいから。そゆことで誰か各隊の隊長さん達に渡してきて」

((そこまで隠したいのかよ…))

隊員達数名が各隊に渡しに行き、通常の訓練に戻った。

翌日、楓と共に大会議室に向かい各隊のトップ二人は昨日渡された仮面をきちんとつけて席に座っており、その前には大勢の訓練生が座っているが、一部分だけ他の列とは違い人が多くそれを見た陽は顔をひきつらせながら(仮面越しだから表情は他には分からず)空いてる席に向かい座れば隣にいた第一部隊の隊長をバシバシ叩き

「痛ーよッ!何で俺叩かれてるわけ?!」

「何か物凄く嫌な予感がしたので」

「は?嫌な予感?あ、そういえば陽達が来るの遅かったから希望の隊の席に座らしといたぞ?第四、第五部隊は今回は訓練生入れられないから3部隊と第六部隊だけだな。」

「ねぇ、まさかとは思いますけど、俺の前にいるの第二部隊希望者とか言わないですよね?」

「そうだけど?第二部隊は人気だからな」

「…源(げん)さん。俺、今日から逃亡するので探さないでください」

「はぁ?!お前が居なきゃ第二部隊はどうするんだよ!」

「かえちゃん任せました!第二部隊は皆優秀だから大丈夫です!」

楓の肩を軽くポンッと叩き逃げようとするも、楓と源(第一部隊隊長)に服を掴まれ逃げるのを阻止され、呆れた楓が陽に言い

「陽隊長、逃げるのは許しませんよ?」

「あの、第二部隊の隊長ってそのガキなんですか?」

第二部隊希望者の訓練生の一人が言えば楓が答え

「そうですが?」

「嘘だろ。第二部隊って強いって話なのにガキが隊長とか落ちこぼれ部隊なのかよ…」

「あんな子供なら俺が隊長になるのも簡単そうだよな」

陽が隊長と聞き、訓練生全員が笑いながら陽をバカにし、楓や他の隊の隊長達は陽がキレないかビクビクしだし楓が恐る恐る陽に話しかけ

「た、隊長…?ここではキレないで下さいね…?」

「別に俺はキレた事ありませんよ?」

((嘘つけッ!))

「でも第二部隊をバカにしてるなら、訓練生は必要ありませんから第一と第三、第六にまわしてください」

「おいおい、隊長の座を奪われたくねぇだけだろ?」

ケタケタ笑いながら訓練生の一人が言えば

「なら、そんなに自分に自信があるなら第二部隊の訓練に今から参加してみますか?」

「ハッ、緩い訓練なら楽勝だぜ」

全員が、そうだよなと言いながら笑うが他は巻き込まれたくないなと思い

「なら今から第二部隊希望者は全員訓練参加で。他の隊の訓練生も参加したい人居ますか?」

訓練生全員が希望し、陽は席から立ち上がり

「なら、各隊の隊長の皆さんも見学していってください。希望であれば参加は自由ですから。では行きましょうか、かえちゃん」

((あ〜あ、怒らしちまったな))

全員第二部隊訓練場に向かい、暫く歩き着いたら楓が扉を開け陽が訓練していた全員に声をかけ

「皆、訓練中止だよー。今から30分後に第二部隊、及び訓練生全員実戦訓練するから」

「ちょっと待って下さい隊長!実戦訓練ってもしかして例のっすか?」

晋が焦りながら問いかければ第二部隊全員真っ青になり

「そうだよ。今回はレベル上げるから、第二部隊は幹部五人がリーダーになり5グループになるようにしといてね。訓練生は自信があるみたいだからひとりで訓練させるから手は出すなよ」

そう言って、陽と各部隊の隊長、副隊長は壁側に行き

「誰だよ隊長を怒らしたの…レベル上げるとかマジやばいって…」

「うわぁ…最悪だ…俺死ぬかも…」

第二部隊全員が恐怖に怯えてるとそれを見ていた訓練生は

「訓練でビビるとかやっぱ第二部隊は弱い集団なんだな。強い部隊だと思ったのに幻滅だぜ」

全員笑いながらバカにしたような目で見やれば第二部隊の一人が溜め息を吐き

「隊長を怒らせたのお前ら全員かよ…マジ最悪…でもせいぜいがんばりな。一人で討伐訓練らしいし?地獄をあじわっても俺達は助けられないから」

「討伐?体術じゃないんですか?でもまぁ違っても助けてもらう必要なんてないですよ。緩い訓練なんてすぐ終わりそうですからね」

((どんな訓練も知らずバカな奴等だな))

30分が経ち陽達が全員の元に行き

「準備は出来ましたか?」

「はい、でも今回のレベルってどれぐらいっすか?」

「それは行ってからのお楽しみです。その方がスリルあるでしょ?第二部隊は最低でも三体は討伐してください。訓練生は…一人ですし仕方ないから1体でいいです。」

「俺達だって一人だからって三体ぐらい余裕だぜ。そこまで弱くねぇしな。それに俺は中級2だぜ?なめるなよ、落ちこぼれの隊長さん?」

((こいつら本当にバカだ…))

「そうですか。そんなに自信があるなら訓練生全員一人で三体討伐してください。助けも要らないと言ってたので俺は見てるだけにします。第二部隊は完全に命が危ないと判断したら助けますので。では準備開始してもよろしいですか?」

「「はい!」」

陽が指をパチンと鳴らせば空間が変わり全体的に異常な程空気が悪い森の中に全員立っており、訓練生は空気の悪さに手で鼻と口を押さえるも、第二部隊は全員魔術で自分が吸う空気を正常に変えていた。
しかし訓練生達は幻術とは気付かず

「いつの間にこんな場所に…てかどこの森だよ…空気がヤバイだろ」

ブツブツ言っている間に数十体の魔獣が現れそれに気付いた第二部隊は魔獣を見て絶句し

「た、隊長…もしかしてこの魔獣…」

「はい、全部そのレベルですよ。だから5グループ編成にしたんです」

「いやいやいや!待って下さいよ!上級1とか虐めですか?!」

「協力すれば大丈夫ですよ。前回は上級2と3をギリギリ討伐出来たじゃないですか。まぁ、訓練生は一人でも余裕らしいので負けないように頑張りましょうね」

((鬼畜だ…))

しかし余裕も無い為、第二部隊は討伐を開始しだし、全力を出して戦うが、訓練生は魔獣のレベルもわからないのか一人一人魔獣に突っ込んではほぼ全員重症な状況で、逃げ回る者も現れ、それを見ていた陽は溜め息を吐き第二部隊の様子を見て

「へ〜、力つけてきてるじゃん」

数体倒れている魔獣を見て感心し、暫くしてから3グループが傷だらけだが疲れきった表情で陽の元に行き

「三体は討伐完了しました…もう無理…」

「はい、合格です。ご苦労様。後ろで休んでていいよ」

「…はい…」

合格と言われた隊員たちは横になりぐったりし、それから1時間後残りの2グループが戻ってきて

「三体討伐完了です…」

「俺達は四体討伐完了っす…もう限界です隊長…」

「お疲れ様。皆も合格ね。やればできるじゃん。後ろに皆居るからそこで休んでていいよ」

「はい…ありがとうございます…」

2グループもぐったりしながら休憩し、陽は訓練生を見て一体も倒せてないのに呆れ、めんどくさくなり

「雷雨……炎華」

一気に全部の魔獣が消え、逃げていた者、怪我で動けなかった者は一瞬の出来事に目を見張り

「さぁ、第二部隊の皆は疲れてるから帰りましょうか」

パチンと指を鳴らせば数時間前までいた部屋に戻っていて、怪我をしていた者は全員傷が治っており

「お前、えげつない訓練させてるんだな…」

第二部隊にいる人間以外は第二部隊がどの様な訓練をしていたか知らず、源が陽に言い

「そうですか?でもそのおかげで第二部隊は優秀になりましたよ?」

「だろうな…普通はあんな訓練だと逃げ出すはずなのに全員以前より力つけてるからな」

「でもその前に、余裕かましてた訓練生は一体も倒せず挙げ句には重症、逃げ出す者ばかり。不合格と言うことで第二部隊には必要いりません」

「でもなぁ…第一と第三と第六が増えすぎて困るんだよな…全員指導出来そうもないし…」

「知りませんよ。口だけの人間でさっきので怖じけづいてやる気無い奴は第二部隊に入っても邪魔なだけです」

「そうカリカリすんなって。…なぁ、お前らさ、さっきの訓練してそれでも第二部隊入りたい奴はいるか?」

源が訓練生に問いかければ第二部隊希望していた者達は陽に向かって土下座し

「「すみませんでした!第二部隊に入れさせてください!」」

「だとよ。どうする陽?」

「はぁ…許可しても良いですけど、訓練を不真面目にしたら即、また地獄をあじあわせますから」

「「はい!!」」

希望者全員が元気良く返事すれば第二部隊の幹部が陽に聞き

「隊長〜、そういえば隊長の階級ってどれぐらいなんすか?」

「あ!俺も気になる!前話してくれなかったからそろそろ教えて下さいよ!」

「逆に皆は?」

「俺は最後に受けたのが2年前っすけど中級1っす」

「「俺も!」」

隊員達が言えば次は幹部が

「俺達幹部も2年前ですけど上級3ですよ」

「かえちゃんは?」

「俺も受けたのが2年前ですが上級1ですね」

「源さん達は?」

「俺は3年前だが上級1にはなれたな。副隊長のこいつは上級3だ。第三部隊はどうなんだ?」

「俺は2年前受けて上級2で副隊長が上級4ですよ。第四、第五は?」

「俺達隊長は上級4で、副隊長達は中級2ですね?第六部隊はどうなんですか?」

「俺は上級4で副は中級1っすよ〜」

「なら皆さん来年受けたらどうです?階級上がるかもしれませんよ?」

「そうだな。って話を変えようとするな。お前も言え」

「あ、バレました?確か階級テスト受けられる年齢って10歳からでしたよね?」

「確かそうだったな」

「なら俺が最後に受けたのが10歳の時だから、神級2だったかな?」

「おい…お前もしかして10歳からあそこに居たのか?!てか実力で神級2って…」

「確かに10歳からお世話になってますけど、神級2になったのは実力じゃないですよ?他の皆が2か3だからそれに合わせただけなんで」

「え?じゃぁ手を抜いて神級2になったって事ですか?」

「だって皆より上だとめんどくさいじゃん?じーちゃん達は本気で受けろってしつこいし。めんどくさいから受けないけど」

((実力出してないとかどんだけだよ…本気で受けたら神級1なのか?!))
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ