short story
□太陽の気持ち
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「・・・ねぇ、おてんこ様」
「ん、何だ?」
太陽が眩しく光るある日の正午。
少女、アルニカはその太陽に負けず劣らずのきらびやかな瞳をおてんこ様に向けつつ、声を放つ。
「ジャンゴは・・・私のこと、どう思ってるのかな・・・?」
「? ・・・なぜそんなことを聞く?」
「誤解しないでよ! 別にジャンゴのことが好きとかそういうのじゃないから!」
「(・・・まだ何も言ってないんだかな)」
「ただジャンゴはだれにでも優しいから・・・たぶんジャンゴことだから「皆大好き!」って言うんだろうけどね」
「そんなに気になるなら本人に聞いてみたらいいだろう」
おてんこのその一言を聞いた瞬間、アルニカは文字通り目を丸くしてのけ反った。
「む、む、む、無理だよ! そんなの恥ずかしいよ!!」
「だが、聞いて見なければいつまでたってもジャンゴの気持ちは分からないままだぞ・・・」
「で・・・でも!」
「あれ? おてんこ様にアルニカ。何話してるの?」
「!!!」
背後から不意に響いた聞き慣れた声に本日一番の驚愕の表情を浮かべアルニカが振り返ると、そこには案の定疑問符を浮かべたジャンゴがたたずんでいた。
「ジャ、ジャンゴ・・・!」
「・・・? どうしたの?」
「さあ、今がその時だアルニカ! 明日もまた日は昇る・・・。だが日によってその太陽の見え方、角度、光の強さ・・・全てが何もかも違う。今日でしか得られないものもあるはずだ・・・!」
「・・・! そ、そうよね。このままじゃいつまでたっても何も変わらないじゃない! ・・・・・・ね、ねぇジャンゴ?」
「ん? 何?」
「ジャンゴは私のこと・・・どう思ってる?」
ついに言っちゃったよ! ・・・まあでも、ジャンゴならきっと「仲間だよ!」とか言うんだろうな。
「え、好きだよ」
「あはは! やっぱりそうよね! ジャンゴが私のこと好きなんて・・・・・・え?」
・・・・・・えっ? 今ジャンゴは何で言ったの? 聞こえたと思った言葉は・・・聞き間違い、だよね。
「好きだよ。アルニカのこと」
「えっ、あ、わ・・・私も! ジャンゴ好きだよ!!」
気が付いたら言ってしまっていた言葉に後悔する間もなく、アルニカの心には満開の花が咲き誇っていた。
「あっ、そうだった! 暗黒街でまたアンデッドの被害が起きてるらしいんだ。おてんこ様、アルニカ・・・行こう!」
そう言うとジャンゴはアルニカの手を取り、足早に走り始めた。
「あっ! ちょ、ちょっとジャンゴ待ってよっ!」
「・・・明日もまた日は昇る。太陽は沈もうとも、必ず昇るのだ。・・・しかし、今日の太陽は暫くは沈まなそうだな」
二人の背中を見ながらおてんこはそう囁き、快晴の空を静かに仰いだ。