成歩堂さん1

□さそい
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明日のことが楽しみで夜眠れないなんていつぶりだろう。
ベッドの上に腰掛け、フェイスパックをしながら彼女は考えていた。


事の発端は数日前のことである。
二週間ほど前に連絡先を交換したばかりの相手から着信があった。
お昼すぎに入っていたその着信履歴を彼女が確認したのはその日の退勤後、暗くなりはじめた夕方頃であった。

prrr…


慌てて電話をかけ直す。
三度目のコールでコール音がやみ、相手の声が聞こえてきた。


「もしもし」


「あ、成歩堂さんですか?」


「ああ、夢見さん。
忙しい時に電話しちゃってごめんね」


「大丈夫です!
今仕事終わったので。」


「そうなんだ。お疲れ様」


相手の様子は特に急いだ様子もなく、彼女はホッと一息つく。


「ありがとうございます。
ところで何かありましたか?」


「ああ、そうそう。
夢見さん明々後日の夜空いてるかな」


「えっと、明々後日ですね。
…仕事の後であれば空いてます!」


「よかったら一緒にご飯でもどうかな」


「え!!
いいんですか?是非…!」


突然の誘いに彼女は驚きを隠せなかった。
無理もない。
彼とはまだ二度しか会って話をしていないのだ。

前回会った別れ際に、また今度、とは一言言われていたけれど本当に誘ってもらえるとは思っていなかった。


「よかった。
もしよければ職場まで迎えに行くよ。車はないけど」


ハハハと笑いながら彼は言う。
彼女が職場の住所を伝えると、「近いね」と彼が答えた。


「じゃあ、終わる頃に迎えに行くね。
もしなにかあったら遠慮なく連絡していいから」


「ありがとうございます!
楽しみにしています!」


電話はそこで終わり、彼女はこれまでにない喜びを感じながら帰路についた。
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