バトルビーダマン

□一匹狼
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炎呪が、俺の事が心配し過ぎて、一緒にキャットカフェでバイトしてる。
凄く不思議な光景だ。

「………」
「仕事しろよ」
「………」
炎呪は仕事もせずに、一人客が座る椅子で座り、本を読んでいる。
「それに、そこはお客さんが座るから………」
最近キャットカフェが混んで来た。多分リエナの作る飯が上手いんだろう。
「………」
炎呪は黙ってそこを退いて、他の場所へ行ってしまった。
「ったく、手伝ってくれればいいのに……」
「まあ、しゃあないやろ」
「ヤマト………」
俺が呆れていると、ヤマトが傍に来ていた。
「ま、アイツをほっておいて俺らは仕事や」
「ああ」
ちゃんとしないとな。

夕暮れ。
もう仕事も終わり、俺は炎呪の所に向かった。
炎呪は、一人夕日を見つめていた。
「終わったぞ」
「………お疲れ」
俺が隣に行った時、俺の頭を撫でてくれた。
「毎日、良く頑張るよな」
「まあ………」
自分たちの為だしな。これも。
「………炎呪は、良いのか?このまま何もしないで」
「……あぁ」
いつもの様に、素っ気の無い返事。俺は、炎呪が思い悩んでいるなんて思っても居なかった。

コイツが、俺の為に色々してくれていたなんて、後で知ったんだ。

アイツが居なくなってから。




「………え?」
朝起きたら、ベッドの隣に炎呪が居なかった。居なくなっていた。何も、置いていない。
俺は慌てて着替えて、外に出て行った。
そこで見たものは、予想もしなかった事だった。地面が割れていた。絶対に戦いがあった。
きっと炎呪が戦ったんだろう。
「………急がなきゃ」
俺は炎呪の後を追う事にした。ごめんリエナ、ヤマト。俺、行かなきゃ。


俺は準備をして、炎呪の後を追い掛けた。



「………あれ、お兄ちゃんは?」
「……これが、置いてあった」
「置手紙?」
「あぁ………。炎呪を追いかけて、行ってしもうた」
「………そう」
「まあ、大丈夫やろ!ウェン達が、いつだって見守っておる」





荒れ果てた荒野に、俺は一人で進んでいた。
この先に、炎呪が居る。
そう信じて。



俺が着いたのは、破壊された古ぼけた教会。
重く古びた教会の扉を開ける。埃っぽい中は、ずっと使われていないかのような感じだ。
俺はそこで、彼を見つけた。
ボロボロに傷付いた、炎呪を。
「………どうした。笑いに来たのかよ」
「……」
「………シャドウの連中が、お前を連れ戻しに来たんでね。逃げていたら、ここまで来ていたって訳さ」
だから、あの地面。破壊されていたのか。
「………情けねえよな。此処に逃げ込んだってよ。………逃げろ。直ぐそこまであいつらが」
炎呪がそこまで言った時だ。教会の扉が思いっ切り開けられた。
「!………俺なら此処に居るぞ!」
「馬鹿!逃げろ!」
これ以上、俺の炎呪が傷付いている所を見たくない。だから、俺も戦う。
俺があいつらにクロムゼファーを向けた時だ。突然あいつらが倒れた。
「!?」
何事かと思った。けど、直ぐにそれは理解できた。
「ったく、一人で無茶するからだぜ?」
「!ウェン………」
そこには、ウェンが居た。助けに来てくれたのか?
「………けっ。何しに来やがった」
「助けに来てやったんだよ。……お前が、一人傷だらけの身体を引き摺って行く所が見えたからな」
「……」
何も言わない炎呪。俺は炎呪を立たせて。俺の肩に炎呪の腕を回した。
「行くぞ」
「………何処に」
「……とにかく、此処に居たら危険だ」
「俺に付いて来い」
ウェンに言われるまま、俺はついて行った。


炎呪、俺の事が好きなら、俺に心配を掛けないでくれ。
頼むから、傍に居てくれ。







END

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