バトルビーダマン

□記憶の固執
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いつの間にかグレイはシャドウ(そこ)から居なくなっていて。
初めの内は気にしていなかったが、いつの間にか気になっていた。

グレイが居た部屋を見つめ、ふと、記憶が蘇る。

俺と過ごした、あの日々を。




「なあ炎呪ー」
「あん?」

それは、酷く雨が降る日だった。
俺とウェンは、トレーニングルームの窓辺で、俺達はビーダマンのメンテナンスをしていた。
「グレイがシャドウを抜けたろ?………リーが、さ」
ウェンの話は、別に俺にはどうでも良かった。

グレイが、今この場に居ない。ただそれだけが、物足りなかった。


その後俺とウェンはビーバトルをした。お互いの怒り、憎しみを込めて。

いつまでも、グレイに執着していたら、俺は前には進めない。進むために、勝ち続けるんだ。

どんな手を使っても。




「………炎、呪」

運が悪かった。
俺がヤマト達を偵察して、帰ろうとした時だった。グレイに、出会ってしまった。
「………ちっ」
「どうして、此処に居るんだよ……」
「…何でも良いだろ」
俺は背を向けて、立ち去ろうとした。だが、それをグレイに阻止された。つまり、後ろから抱きつかれた。
「っ!離しやがれ!」
「嫌だ!」
グレイは、より強く俺を抱き締めて来た。それが俺からしたら、居心地が悪いと思ってしまった。

止めろ、これ以上俺の中に入って来るな。

「頼む。シャドウから抜けて、俺達の方に来てくれ……」
「………」
俺は黙った。
シャドウに居れば、より強い力が手に入る。
「……無理に決まってんだろ」
俺はグレイから離れた。そして、歩き出した。
「………俺は、待ってるからな!」

馬鹿野郎。無理に決まってんだろ。………マーダビィには、逆らえられないんだよ……。

すまねえ、グレイ。










END

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