バトルビーダマン

□許されない罪
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今日は、久々にグレイと街を歩くことにした。ヤマト達からグレイを離しておいて正解だったぜ。
きっと今頃は慌てて捜してんだろうな。
「………なあ炎呪。俺、あいつらに何も言ってねーんだけど……」
「あん?そんな事気にすんなよ」
「けど………………」
「良いから付いて来い」
「あぁ………」
黙って俺に付いて来れば良いんだよ。


そしてしばらく街を歩いていると、犯罪者とかが描かれている貼り紙を見つけた。そこにはアババの顔や、俺のもあった。そりゃ、あるよな。だって、あのシャドウに自ら進んでは入ったんだぜ?
「炎呪、これ………」
「………」
そう、入っただけじゃねえ。俺は、アイツを殺した。あいつだけじゃねえ。他にも、邪魔な奴は消した。
強い者が正義。
力ある者が、生き残れる世界。だから俺は、誰だって構わず、自分が生き残る為なら、何だってして来た。そんなやつが、当たり前に犯罪者になるよな。
「行こうぜグレイ」
「あぁ………」
けっ。何が悪いんだって言うんだ。悪いのはてめえ等だろう。………ただ、金で勝負の勝ち負けを買ってただけじゃねえか。……そんなに裏ビーダーの息子ってのが、気に触わんのかよ。
俺は苛ついていた。
昔の記憶が、蘇って来る。見たくもないのに。
「炎呪………」
「グレイ………」
グレイはそんな俺に気付いたのか。俺の手を握って来た。
「………お前が優しい奴だって事、俺良く知ってるから。お前は誰よりも優しい奴だって………。みんな、知らないだけだ。お前の優しい部分を」
「………ふっ。ったく、やっぱりお前だけか。俺の味方は」
俺はグレイの頭を撫でてやった。
「俺だけじゃない。ウェンやヤマトだって………」
「………勘違いするな。俺が時々現れるのは、お前の事が心配で現れるだけだ」
「炎呪………」
「…そろそろ帰れ」
「………あぁ」
俺から離れて行くグレイ。仕方ねえさ、だって………。

「俺は、お前がこっちに来るのを、待ってるからな」
「………早く行け」
走り出すグレイ。
ったく、お前は何処までも甘いな。そんなだから、アババに狙われるんだ。
アババだけじゃねえ。いつかきっと、マーダビィにも……。もしそうなったら、俺は……。

もう二度と、ビーバトルが楽しいって思う事は、無いんだろうな。ヤマトとの、あのバトルが最後だ。もう二度と俺は、楽しもうとか考えたりしねえ。
グレイを守る為だけに、俺は強くなる。
ヤマトに、次は勝てるぐらい。いや、奴を越えるぐらい、強くなる。

……コーネル。てめえもヤマトに出会ってればよかったのにな。
そうすれば、俺に……。


「さて、行くか」

この街じゃ俺は厄介者みたいだしな。








END

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