青い人に会えたなら

□ロックマン!!!
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上を見上げれば入り組んだ電子回路。規則正しく配置された数式やプログラムの数々。どこまでも続きそうな真っ直ぐな見事な水平線。ゲームやアニメのまんまの世界。とりあえず唖然とその空間を眺める。
『…すご』
呟き、一歩足を踏み出す。
『赤い…』
自分の足が赤いパーツで覆われている事に気付いた。
続いて手を見る。こちらも赤にところどころ青の入った頑丈そうなアーム。
『……わたしネットナビかよ!!?!?』
今更気付きシャウトする。
『た、戦えるのか?武器はどうしたわたし!オペレーターは?いないね!はわわわどうしよ!というかここどこ?誰もいないの?静かすぎない?!』
そう、この場所、やたら広い空間に静寂だけが漂い、薄暗く何とも不気味な場所だった。

ザザッ

『!?』
何処かで鈍い電子音が鳴った。
振り返ると
『…ぅゎ』
そこにはおびただしい数のメットールがこちらに睨みをきかせながら迫って来ていた。
『ぃ、いやぁぁっ!!』
叫び、咄嗟に両腕で顔を庇う。
『…わっ!?』
すると赤い腕は発光し、みるみる形を変え、エメラルド色の双剣へと化した。
『わたしの武器?ってうわぁ!!』
考えている暇は無い。
次々に襲いかかるメットールたち。
しかし次の瞬間。
『っ!嘘、わたし飛んでる…』
なんと無意識のうちに自身は高く高く跳躍していたのだ。
『なんだろ…初めての事なのに…身体が慣れてる…軽くて、メットールたちの動きが手に取るようにわかる!』
眠っていた力が覚醒するような感覚と共に沸き上がる自信。
にやりと口角を上げ、その場から双剣を勢い良く振り下ろす。
『スーパーソニック!!!』
双剣から放たれた衝撃波はみるみるスピードと威力を増し、メットールたちへ直撃。
デリート完了。
辺りにはメットールのデータの一片も残されていない。綺麗さっぱり消えていた。
『……え!?これ!凄くないっ!?』
またもぽかんとしたあと叫ぶ。
『や!戦い方が分かってたのも凄いけどさ!基本武装であの威力って!!っていうかスーパーソニックって何!?これ(武器)のことだよね?うわぁぁ叫んじゃったよはっず…。』
興奮を抑えきれない。
しかし、他にも思った事があった。
『…ここって…裏インターネットだよね』
そう、見覚えがあった。
そして記憶を探った。
すると直ぐにわかった。
この荒んだ空気、広く退廃した荒野のようなこの場所は、間違いなく裏インターネット。
そう分かると急に怖くなった。
「……イ…コッチニ、コイ…ソノ…チカラ…ヲ…」
『Σ』
何処からか聞こえる声、自分を呼んでいる声。
ぞっとした。
おぞましい。
次の瞬間にはもう走り出していた。
逃げる事に集中した身体は疲れなど忘れ限界を超えるまで走った。
途中からは記憶が無い。
とにかく必死だった。
どうやってここ迄たどり着いたのだろう。
足を止めた場所は何処かの住宅街のネット回線が張り巡らされたエリア。
とにかく安全な場所を確保したかったため、適当にホームページを開き侵入した。
幸い、その身体は何のセキュリティにも引っかかる事無くとあるホームページにたどり着いた。
もうクタクタで足に力が入らない。
緊張の糸が解けた身体は力なくその場に倒れ込んだ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
「……ねぇ!」
「…ねぇってば!」
『(何?…あれ?聞き覚えある。この声は…)』
「!目が覚めたかい?大丈夫?」
『…ぁっ…』
誰かが呼ぶ声に目を開けると、そこには心配そうに見下ろすお馴染みの青い姿に翠の瞳。
『…!?!?!?!/////(ロッロ、ロ、ロックマン!!?!??!)』
慌てて起き上がり急いで裏へ飛び退いた。
『ごめんね、驚かせちゃって。大丈夫だよ。ボクはロックマン!』
そう言ってふっと微笑むロックマンは正に天使そのものだった。

to be continue
 

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