SS_対少年メモリー

□第二話
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~カルロpart~

御者に別れを告げ、馬車から降りると、まだ朝だというのにも関わらず町は活気で満ち溢れていた。
あまりの活気に驚いた少年は僕の袖を握った。
僕はそのまま街の中心へと足を進めた。
街行く人は皆明るく、笑顔の者ばかりだ。
相変わらず騒がしい道の中に入っていくと、男の人に声をかけられた。
「そこの小さい兄ちゃんと白い兄ちゃん!これいらない?今なら半額で売ってやるよ!」
小さい兄ちゃんとは僕のことだろうか。そちらへと近付くと、男の手にはカメラが握られていた。
「知ってるかい、これ、風景をそのまま写すことができるんだぜ!」
「知ってます。いらないです。」
僕はそこを立ち去ろうとする。
が、少年は僕を引き止めた。
「風景を写すって何…?すごい…」
良く見ると目を輝かせていて、僕は仕方なく「………で、半額でいくらなの。」と聞いてしまった。
「今なら半額の7000ゴールドだが…お兄ちゃんたちかわいいんでまけてやる!5000ゴールドだ!」
5000ゴールドか、悪くない。
見る所欠陥品でもなさそうで、僕は黒いカードを差し出した。
「これで。」
「おっ!兄ちゃんイイもん持ってんねえ!他にも買ってく?」
「いえ。結構なんで。」
少年の手を握ると、カメラを受け取りそそくさとその場を立ち去る。
後ろから「また来てねー!」との声が聞こえた。
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