treasured box
□clapおまけ☆No.10
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「…心配しなくていい。俺がついてんだから。絶対!!お前は俺が守ってやるよ」
「でも、こないだみたいに車で追いかけられたりとかしたら…」
そんなにくっついて話す必要があるのか?
昔から知った同士、幼なじみだとしても。
24時間の警護だっていう理由はともあれ、危険が及びそうにない此所で、ぴたりと密着する程、何をそんなにコソコソと……
「忍者に転身か?」
「っ!いち…」
「ふーん。SPを監視中、か」
「偶々だ。通りかかったら、アイツと秋月が居た。それだけだ」
「そんなに険しい顔してか?」
「元からこの顔だ。お前こそチョロチョロしないでさっさと行っちまえ」
「あ、そうだ!後藤。秋月の初恋の相手、アイツだって知ってるか?」
「………」
「シカトか?それとも、ショックでフリーズしてんのか?」
「忙しい。もう行く」
「焼けぼっくいに…火が着くかもな?」
一柳が何事か呟いていたけれど、俺は無視して背中を向ける。
だけど………
本当は気になって仕方ない。
秋月と話している時のアンタが、あまりに楽しそうだから。
俺には、アンタをそんな風に笑わす事なんて出来ない。
卑屈な想いが巡る。
下らない嫉妬が体一杯に拡がった………
「お前、さっきからキョロキョロしてどうした?」
「えっ! 別に、そんな事…」
「惚けるなって。後藤さんが気になってたんだろ?」
「そっ、そんなんじゃ…ないよ!」
「何だよ。声かけなくていいのか?ほら、今行かないと帰っちまうぜ」
「え…あっ、どうしよ…」
「お前、茹で蛸みてぇな。ははっ」
「海司っ、ひどい!!」
「あーっ、もうさっさと追いかけろって。ここなら俺も昴さんたちも居るし、安心だから。行けよ。行って、“デートしましょう” って抱きついて来い!」
「ばっ…バカーっ!!!」
そんな真っ赤っ赤になって、バレバレじゃねーかよ。
俺だって、お前が…
SPで我慢しといてやる。お前の嬉しそうな顔、あの人相手でなきゃ、そんな顔しねぇんだから…
(2018.3.24 掲載)