treasured box

□clapおまけ☆No.8
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「えっ!サギっ?マジで??」



「ああ」



「背中にも目があるスパイが…まさか?」



「ですよね。石神さん、旋毛にまで目が付いてるって噂だし。隙なんて一ミリも無さそうなのに」



「石神も普通の人間だったってことだよ。 しかし…」






海司、昴、そら、瑞貴はそれぞれに頭を悩ます。






(一体、何の詐欺に遭ったんだ?)






全く見当もつかぬまま、誰もが『んー、』と唸るばかりだった……。








冷静沈着な石神が、何やら詐欺に引っ掛かってしまったという噂が広まった日。




SPたちの心、石神知らず。




解けぬ謎に皆モヤモヤしながらも、何とか仕事だけはこなしていた。





* * *





「申し訳、ありませんでしたっ!!予期しなかったハプニングとは言え、行き過ぎた行為でした。本当に申し…」


「もういい、後藤」


「ですが、」



「理由はわかった。だから、もういい。だがしかし、上からはお咎め無しとはいかないだろう。どうしたもんか…」







石神の微かな溜息と、未だ申し訳無さそうに項垂れている後藤。




基本、真面目な性格の彼らを悩ます理由というのが、SPたちが噂していた“詐欺”に関するもの。






その真相は───。





























詐欺グループを摘発する為、後藤がその内の一人を尾行していた時の事。





運の悪い事に、後藤の恋人がそいつのカモにされようとしていて……





普段であれば冷静沈着に任務をこなすのだけれど、この時はどうにも激情が抑えられなかったのだ。





彼女を守るべく、後藤は詐欺師にグイと掴みかかり、人目憚らず殴り倒してしまったのだった───。







後藤が一般人であったならば、単なる痴話喧嘩で済んだだろう。




だが、国家公務員が悪人相手とはいえ、私情を挟み、暴行を働いたわけだから、石神は悩みに悩み………







(仕方がない。例の話…)





* * *





「そういや、石神さんが詐欺られたって話、デマだったそうですね」



「なんかなぁ。“騙されてやんのー。バーカ!!” って、笑いまくってやろうと思ってたのに……あっ!!でも、スパイとその手下のアレ。海司も聞いたか?」



「あ、キャンペーンの件ですね」



「おっ、瑞貴も知ってたのか。しっかし、石神と後藤が二人で歌とか。えーと、何だっけ…詐欺啓発?そういう系のテーマソング作ったって。 ははーん!罰ゲームじゃん」



「でも、婦警さんたちキャーキャー言って大喜びしてましたよね。あの人たち、案外人気あるし。僕、ボイストレーニング頼まれたけど、歌なんてもう何年も歌ってないから丁重にお断りしました」



「あっ、ユニット名“後藤石神”って言うんだろ?何だかなー。 やっぱ罰ゲームだな」



「なんか似たような人たちいましたね“吉田…」














今日もまた、SPルームで話題に上るは公安の面々の事。





そして、その当人たちは通常業務の傍ら、不馴れな歌唱レッスンまでさせられて、ますます忙しい日々である。






喉は嗄れ、止まらぬくしゃみは春のせいなのだろうと、二人してむず痒い鼻を擦りながら………。






























石神『それはサギだ〜!!騙されるんじゃないー♪』



後藤『甘い話に気をつけろー♪』





(2017.8.29 掲載)

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