treasured box

□clapおまけ☆No.6
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雪舞う歩道の木々を飾るイルミネーション。





キラキラと輝き放ち、道往く人たちは足を止めて、視線をその光へと留める。






僕は少し足早に通り過ぎながら、赤い紙袋からマフラーを取り出した。










「…さん」






そっとあなたの名を呟いて、手にしたマフラーをふうわりと首に巻き付ける。























「これ、真壁さんに」




「…えっ?」



「ちょっと早いんですけど…メリークリスマス☆」



「あっ。 あ…ありがとうございます!!」



「真壁さん、お仕事で外に居る事が多いでしょう。だからコレがいいかなって。あ、だけど勤務中って着けちゃダメなのかな?もしダメだったら、通勤の時でも使って下さいね」



「は、はいっ!!!」









気遣いと笑顔、たくさんの優しさをあなたはくれました。





飛び上がる位に嬉しくて、思わず抱きしめたくなったけれど……

















あなたが他の誰かと見ているだろうクリスマスイルミネーション。





できるなら、僕がその隣に居たかった。






願っても、もう叶いはしない恋心を





想っても、届くはずない愛しさの感情を





凍てつく掌に息を吹き掛ける様に温める。










「僕はこんなに諦めの悪い奴だったんだな…」








足下を冷たい風が吹き抜けて、『忘れなさい』と囁いて行く。






それに頷くように僕は、あなたに出会えた幸せと、あなたからの最高の贈り物を、ギュッと胸に抱きしめた………





(2016.9.4 掲載)

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