SHINee
□Hello
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side O
それはある雪の日。
もうすぐ春になるというのに雪が降った。
僕は 大学の入学準備の帰りで、雪が強くなる前に帰ろうと 早足で
時計塔の前を通り過ぎた。
その時計塔の前に一人で立っている人がいた。
その人は 綺麗な金色の髪をしていて、こんなに寒いのに手袋もはめていなかった。
そして、どこか悲しそうな顔をしていた。
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4月 大学2年生になった。去年は大学生活に慣れるのが精一杯で進路のことを考える余裕がなかった。
今年はしっかり進路を決めよう、
と 意気込んでいたときに
ドンッ
「いててっ」
誰かとぶつかった。
ぼうっと 突っ立っていたものだから、思わずしりもちをついてしまった。
「す、すいません、大丈夫ですか⁈」
手をのばしてきたその子は、制服だったから高等部の子だとすぐわかった。
うちの学校は大学と高校が同じ敷地内にあるから、高等部の子がいても珍しいことではない。
「うん、大丈夫 ありがとう」
その手をとって起こしてもらった。
「本当にすいません。ちゃんとお詫びをしたいのですが、今 急いでいて…」
「僕は 大丈夫だよ。早く用事に行きな~」
「はい、ありがとうございます。あ、僕 生徒会長の チェ・ミンホです。また会ったら、しっかりお詫びします!」
「大丈夫だよ~ あ、僕は イ・ジンギ、でも オニュってよばれることが多いかな~」
「わかりました、オニュさんですね 覚えておきます… では 僕はこれで、 本当にすいません!」
「気にしないで! じゃあ またね」
ミンホくんはきっちりおじぎをして走って行った。
僕の弟にも見習って欲しいな。
帰ったら弟に話そう。
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それから 講義室にむかった。
「すいません」
声をかけられ 振り返ってみると、そこにいたのは
きれいな金色の髪をした その人だった。