企画展示室

□お題募集企画
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「今日はー」




【今日の仕事】



本日もわたくしは頼まれても居ない書類整理をしにこのライブラの事務所に来ています。
いや、なんで秘密結社の事務仕事を一般人のあたしがしてるかっていうと、話すと長くなりそうなので省略!
それはいいんだけれど、頼まれていないんで、こそーっと資料室に入ればお昼休みのためかみんな出払っているようだ。

いつもお小言が小姑並みにきついスターフェイズさんもいない。まあ今日はそれを狙ってきたのだけど。
机の上を見ればまだ終わっていないであろう、決算資料が乱雑に置かれている。
あー、また誰かひっくり返したなぁーとなんとなく察せる程度にはココでの仕事に慣れてはきている。


ごそごそと仕事用の道具を取り出す。
電卓三種と、ノートパソコン、あと糖分接種用のビターチョコレート三枚。
あ、最後のは道具じゃないね。食べ物だね!

「んーし、やるかぁ」


書類をとんとん、と整えてから席に着く。
あ、コーヒー置いたままじゃん、誰のだよもー。

「んげ、にっが」


好奇心で少し口に含んでみれば、ブラックコーヒーという事実が判明した。
うわ、だれだよほんとこれ。スティーブンさんなら泣く。
間接キスかもしれないという絶望とか、勝手に飲んじゃったからお小言言われそうな恐怖とか。
あと、いつも連絡せずに出勤してることとか(
あれっ、怒られる要素多くない? そんなことないよね、うん。そうだそうだ。

ぱき、と早速チョコレートを一欠け口に含みお口直しとする。
う〜ん…うみゃい。うみゃいぞお。ほぁ、と頬を緩めてしまう。

いかん、仕事せにゃならん。




カタカタパチパチと計算しては書き込み、訂正すべき部分の訂正書類も平行してパソコンで作成していく。
こういうの作っとくとスターフェイズさんが大層喜んでくれる。追加報酬としてお駄賃くれるのよね。
今月は出費が多いせいもあって、手早くお金がほしいのだ。

ぱき

何口目かのチョコレートを口に放り込んでいると、がちゃりと扉が開いた。
んぅ?と椅子に座ったままぐぐっとひっくり返るような形で背もたれにもたれた。

逆さの視界に、視界に入りきらない巨体が映る。
一瞬見えた赤い髪に口からはみ出している犬歯。


「んぐ、っぐふっんっ…!」


咽た。盛大に。

「!?」
「んげっふっ…ぐふっ…」
「大丈夫かね…?」
「ん、っ…んっうんっ」


咽る頭で必死に頭を肯定するようにうなづけば、聞いてきた相手も少し安心したのか、ほ、と息をついた。

「クラウスさんっ、こんにちあっっ」
「うむ、今日も手伝いに来てくれたのか」

「即金がほしいのできました!」
「!?」

素直に応えれば驚いた顔をされた。

「そ、そうか」

若干面食らった感じである。
このライブラのリーダーは結構表情豊かだ。
いや、副官も割りと表情豊かなのですけども。
クラウスさんは可愛い部類の表情豊かというか、成人男性に可愛いとか、結構失礼な感じはするけど、言いえて妙だと思うのだ。


「あと、クラウスさんとプロスフェアーやりたいのできました」


そう付け足せば、ぱっと表情が明るくなる。
そこまでの変化はないのだろうけど、なんだかわっと明るくなった、感じがする。
実のところ、そこも込みでココの仕事を続けている傾向にある。
あのゲーム、うまい人とやり始めると終わりが見えないから困る。楽しいけど。

特にクラウスさんとやるとめちゃくちゃおもしろい。固執していたプレイスタイルかなぐり捨てるくらい超楽しい。


「なので、今日も夕方までに終わらせちゃいますね」
「もうそれも仕事に含めてよくないか? きみ」


「ぅおわ、スターフェイズさん。おつかれさまっす」
「おー。お疲れ。てもう半分終わってんの? はやいねーきみ。いつも思うけどさ」

ひょいとクラウスさんの後ろから現れたので驚く。
そりゃ、死角から現れたら誰だってびっくりするわ。
そしてあたしの仕事中の書類をぺらぺら、と小姑よろしく粗探しするようにめくっている。
たぶん違うんだろうけど、あたしからはそう見えるぞ…!

「で、今の続きだけど、クラウスもそれ楽しみにしてるとこあるみたいだからさ、今やってるアルバイトやめてうち来ない?」


「へ?」


「今出してるお給料より多めにだせ「ちょっと待って下さい、バイト先に連絡してきます」



(どうしよう! スターフェイズさん! 店長めっちゃ泣いてる!)
(なんでそんなことになってんだ!?)
(うちの秘蔵っこがお嫁にー!とか! どういうことですか!)
(君はなんて言ってバイトやめようとしたんだよ!)



いや、(プロスフェアーが)大好きな人が居る職場に就職するので、バイトやめますって。



(そりゃ泣くわ)
((無言でうなづく))
(いや、クラウス、ここは動揺するとこだからね?)
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