廃倉庫

□風か吹くがままに
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「世界を手に入れてみたい」と彼女は言った。



「ならば、それ程の力を持て」と俺は言い切った。





   T:街が静まり返る夜に




「ガッ・・・・」

男は30階もあるビルの屋上からアスファルトの地面にたたきつけられた。


「まだ生きているか・・・・神崎」


神崎と呼ばれた男の肩を蹴り飛ばしありえない手の曲がり方になる。けった人物はまだ幼い10歳くらいの少女だった。


神崎はうぅ・・・と、うめく。


「しつこい男は嫌われる」


少女は体に合わない大口径リヴォルバ―にサイレンサ―を取り付け両手で握り、安全装置を解除する。そして神崎に狙いを定める。








「死ね」







引き金を引いた。




パヒュン





サイレンサ−で音を消され軽い音を立てて神崎に命中した。



「なかなかこのサイレンサ−は使えるな」
少女は10歳には思えないほどの冷静な口調でバレルに取り付けてあるサイレンサ−をはずし腰につけたポ―チにしまう。銃を抱える。

神崎は頭を撃ち抜かれて絶命していた。




「見事なものだねぇ〜。バエアウス(世界を支配しようとしているもの)」
「またお前か、ベシウスラウガ(世界を歪ませている者よ)」きちんと名前で呼べ。その名は好かん。


少女は自分の目の前に現れた長丸いめがねをかけている青年を睨む。

「そ−ゆ−君だって僕のこと感覚者(セイル)の名で呼んでるじゃん。由香-ユカ‐」


青年は神崎に手のひらをかざし次にどけたときには血も死体も消えうせていた。


「お前が感覚者(セイル)の名で呼んだのが悪いんじゃないか? 蘭-ラン-」
由香はフッ・・・と笑う。

ウワッ、何それ〜!! ひっでぇ〜!! と蘭は膨れる。

「それに、なぜ私が行く場所にお前がいるんだ」
嫌そうにため息をつき60pも背の差がある蘭を由香は見上げた。
蘭はにっこり笑った。
「そりゃ、由香のことが心配「ご無用だ」
由香は背負っていたリュックからホルスタ−を取り出し銃を収めリュックサックの中にしまう。


「その顔で言われても怖くもなんともないけどね」「黙れ」

由香は軽く飛び跳ねた。その瞬間、30階もあるビルの屋上に飛び上がり、着地する。
少しだけ風が吹いた。





「東から来るか・・・」
由香はつぶやく。


「探したぜ? お嬢」
由香の隣にいつの間にかさっきの蘭とは違う男がいた。
「くるのが遅かったな。風音-カザネ-」
肩に飛び乗り風音に尋ねる。
「邪魔もんが追っかけてきましてね」と苦笑いをする。
「ダレだ? 私は蘭に会ったぞ・・?」心底嫌そうにため息をつく。



「蘭じゃなかった。「やつら」だ」

由香の目が見開かれる。そしてまた嫌そうにため息をつく。

「今日はことごとく運が悪いようだな」東から血のにおいがする。「普通の人間」(ノ−マル)じゃない。
「仕事の臭いがもれたんでしょうか」
風音の意見に由香は首を横に振った。





「蘭だ」





「あの男(蘭)特有の臭いのせいで感づかれたんだろうな。」来るぞ。東の15度からだ。



由香は風音に言った
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