企画展示室

□お題募集企画セカンドシーズン
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「…それ、もしかして」

「うん?」


異界存在の女性、ノーナは、自身のかばんからひとつの書類封筒を取り出した。
くるくると止紐を解き、1束の書類を抜き出して、こちらに差し出してきた。
表紙はなく、まっさら、角に社外秘の真っ赤な印が入っている。


「ちょ、社外秘をそんな他人に見せるもんじゃ…!」

「わかりました。じゃあ読み上げます」


先ほどとは打って変わって、マジメな表情で彼女はぺら、と書類内容に目を通す。


「K・Kさん、聞いてますか。」

『ええ、聞いてるわよーって、あたしも聞いていい話なの? それ。うちの通信、他のメンバーにも筒抜けなんだけど?』

「構いません。今回の事件に、きっと関係があるはずですから。耳穴かっぽじって聞いてくださいねー一回しかいいませんから」




彼女は息を吸い、淡々とした口調で読み上げ始めた。



内容としてはこうだ。
彼女の働く会社・ディエスルーカンパニーは熱を使った事象研究を行っている科学研究ビジネス会社であり、そこで出た研究データを他社に売却することで収入としている。
最近では熱だけでは足りないということで冷却事象の研究も始めていたところだったという。
しかし、ココ数ヶ月、冷却研究をしている工場の不祥事が相次いで起こっているため、その対策、今後の課題についてが記載されているらしい。

そこの一文には、原因に加熱事象研究所に増設されるという形で冷却研究をしている研究室が設けられたということで、熱と冷却の研究を近すぎる距離で行っていることにあるのではないか、というものがあった。
事実、ここ一週間、熱事象研究所でも異常な作動が確認されており、所内の温度が急速に上がり続けているということ。
現在はそれをなんとか所内に納めておくのが精一杯と言うこと。最後の項目としては冷却事象研究事業は距離の離れた場所で行うべきなのではという言葉で締めくくられていた。



「この事件、うちの会社が関わっている可能性があります。」

「…その熱事象、どのくらいの速度で温度が上がっているいくのかな」

「……確か、一時間に5度です」

「この暑さが始まったのは、…」

『レオナルドっす! 今検索したら、爆発事故が起こってますよ! 三時間前に!』



その言葉を耳に入れれば、大きなため息が出た。
あー…そうかー。そうかそうかー。と内心気を落としたいとこだ。
しかしそうもいってられるはずもない。


「もしかしたら、あっちの会社のほうもそういう事態で、誰かを原因にしようとしている、とか。考えられませんかね。」


熱いはずの室内で、彼女は、真っ青な顔色をしていた。
内心混乱しているのではないだろうか。ただ、お遣いを頼まれただけだったはずなのに、事件の原因にされそうになっている、と。



「この書類を仕上げたの、私なんです。どうしよう…、どうしよう…!」



「その事象機器、止められる?」



「爆発が起こったなら、もう、壊すしか、ないです」




「と、いうことだ、クラウス、ザップ、K・K、ツェッド」





【リミットは間近】



(頼んだぞ)
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