企画展示室

□お題募集企画セカンドシーズン
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「お邪魔するわねー」
「ども」
「ういーっす、元気してるー? ごっくちょー」






この状況、誰が予測できたであろうか。





【トップシークレット】


ここ、パンドラム超異常犯罪者保護拘束施設(アサイラム)は、その名のとおり、"オカシナ"連中をぶち込んで監視しておくためにある監獄だ。
そこの管理、統括、維持、あらゆる権限を持っているのが、私、アリス・ネバーヘイワーズである。

そんな監獄に、一本の連絡が入った。
私の教えている人間の数少ない、プラ イベートな端末へ、だ。
私は常に監獄にいるため、私への連絡=監獄への連絡になることはままある話のためだ。

しかし出てみれば、本当に個人的な付き合いをしている人間の声で、しかもいやおう言わせずに登録してきたヤツだったので顔をしかめるハメとなったのだ。


『ういー。アリスさーん。元気に監獄管理してますー? いつでのトップギア、ノーナちゃんだよー?』



ブツッ



腹が立って速攻で通話を終了してやれば、再度リダイヤルがかかってきた。
同じ人間である。
こうなると、あいつはしつこく電話をかけてくる。経験上それを予測できたため、仕方なく出ることにする。


「業務中だ。なんのようだ、ライブラの猫」

『やっだなー、あたしと獄長の仲じゃないっすかー、ノーナって呼んでくださいよーぅ』

「今後一切電話をかけてこないと誓えるならそう呼ぶが。そして用件を話せ。お前と雑談している間が惜しいんだが」

『じゃあじゃあ、お仕事しながらったらお話していいんですかー?』

「はあ?」


名前予備に関してはあえて触れないようにスルーしたようで、そこからの斜め上な発現にさすがの私も声を荒げてしまった。
失態だ。

だがそんなことお構いナシにライブラの猫、気まぐれ女のノーナは話を進める。


『獄長、連絡先教えたのにぜーんぜん連絡くれないんですもんー。もうこっちから出向いちゃえーって思って』

「お前が勝手に登録したんだろう。ふざけるな」

『でも、登録を消去する事だってできるのに、しなかったってことは、ちょっとは希望があるのかなーって思って、今監獄門の前にいまーす!』

「…は?」

『お菓子も用意してきましたー! いーれーてーくーだーさー(』

ぶつっ



勢いで切ってしまった。
そして大急ぎで門前の監視カメラを表示させれば。

『ごっくちょー!』


(腹が立つほど)いい笑顔でぶんぶんと手を振るヤツと、その後ろにはなぜかライブラのスナイパー、K・K、不可視の人狼チェインの二人までいた。
どういうことなのかさっぱり分からないが、とにもかくにも気まぐれ猫だけではなく、ライブラの上位メンバー二人がいるということは、ふざけた内容ではないのだろうと踏んだ。
そういうわけで、私はまんまとこの気まぐれ猫に騙され、門を開けてしまったのだった。

そして冒頭に戻るわけである。







「…何をしにきた」


頭を抱えながら聞けば、ノーナはこれ以上に無い笑顔で。


「恋バナしにきた!」
「面白そうだからそれに便乗してきちゃったわ!」
「…っす」





「帰れ!!!!」






(ええー聞きたいジャーん、世では恐れられるほどこっわーいパンドラムアサイラムトップ、アリス獄長が想いを傾けるあ・い・て!)
(どうなの?! どうなの?!)
(ぜひ聞かせていただきたいです)


(ふっざけるなああああああああああ!)
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