企画展示室

□お題募集企画セカンドシーズン
16ページ/60ページ

闇と秘密は、意外と近くて遠い。


【夜話 解 】


「こんばんは」



突然声をかけられて、驚いたのはレオナルドだった。
声をかけてきた人物にも、だが、その人物が現れた場所にも。


自身の影から、人が現れているのだ。
黒髪に、前髪の右側、一束に藍色のメッシュ。
その髪は肩までほどで、癖毛のように跳ねている。

一瞬、その人物の顔立ちで男か、女か分からなかった。
中性的なその目や鼻のつくり、体つきは錯覚を覚えるのには十分すぎる知覚情報だ。

男なら少年、自分がそう判断するのも、棚に上げているのは、自覚している。
女なら少女と女性の間くらいだろうか。

その目元は、敵意を感じさせない平和的な笑顔。
口元は楽しそうな表情。


それが、影から現れた、敵意無き相手。
そして、レオナルドが探していた人物でもあった。



「あなたが、ノーナ…さん?」


「おうともさ!って、なんで知ってるの?! 義眼の男の子!」


レオナルドがこわごわと聞いてみれば、いい笑顔で返事を返された。
そして矢継ぎ早に自分の能力を口にされ、初対面なハズの相手に目をひん剥くハメになった。
いや、細目だけれど。


「…えっと、なんで貴女が僕の能力知ってるのか問い質したいんだけど」
「よし、腹割って話そうか」
「いいでしょう、そこの喫茶店まで同行してもらっていいですかね」


「キミのおごりならな!」


即答だった。


「今日は奮発してあげましょう!」

そう答えれば、目を輝かせて、レオナルドの手を握るノーナ。


「よし!いく!」

「待て待て待て。先走った上になに餌付けされそうになってるんだ、ノーナ」

「え、だっておいしいものをタダで! おごってもらえるんですよ?!」

「さっきパフェ三種盛り合わせとケーキセットうちの店で食べたよね、キミ」

「別腹!」

「甘いものだけでいくつ別腹あるんだ、キミ」




「あの」




【互いの遭遇が残念だった場合】


(ノーナ、義眼の少年が唖然としているぞ)
(ファーザーさんの姿に唖然としてるんでしょう?!)
(両方だ! 両方!)
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ