企画展示室

□お題募集企画
17ページ/30ページ

眠たい。
仕事をしながらぼんやりと頭の中が真っ白になっていく。
眠たい。
ため息をつく、しかし、それを聞くヒトはいない。
眠たいなぁ。
つぶやいてみる、どちらにせよ眠気は消えてはくれない。


「あーくそ、徹夜なんてくそくらえだわ…。はー」


自分から選んだ徹夜だ、投げ出すわけには行かない。
しかし、眠たい。眠いのだ。
せめて仮眠がしたい。けど起こしてくれる相手がいない。
死ねとでも言いたいのか、はー。もうやだなぁ。



「レオー。レオはいないのかー」



いつもの抱き枕代わりの姿はない。
クズと任務だとか言っていたような。
あのクズめあたしの癒しを、ふざけんなー。あ、けど任務命じたのはアノ怖い副官様だったわ、口は慎もうっと。


「はぁーーねむーいーわー」


めがしぱしぱする。
椅子にもたれたままそのまま眠れてしまいそうな勢いだ。
あーでもこれで寝たらまた副官にどやされるんだったわ。

で、その副官は仮眠のため部屋にはいない。
くそがー。


「まああたしは徹夜初日だし、あのヒトは5日目だもんなぁー」



唐突に歌いだしたときはさすがのあたしも驚いたし。
寝てください、といわざる得ないじゃないの。
あー、でもねむい。
残りの仕事はちょびっとだーがんばらねばー。あとちょいだー。


せめて、せめて…





「おーい」


仮眠から戻ってみれば、リリアが椅子にもたれ首を傾けて寝ていた。
徹夜自体あまりしないタイプなので、撃沈というとこだろうか。
声をかけても反応はなく、たまにクカ、と寝息を立てている。

無造作にまとめられた髪がだらりと頬にかかっていて、指で払えば、んむ、と声を上げる。

「ん…んんん…、れおー…?」

眼を閉じたままふらふらと手を上げて探すのは、意外にもあの義眼の少年の名前。
そういえば、最近よく一緒にいると思ったら、…そういうことか。


「寝ぼけるのも大概にしとけー。悪い狼に横取りされてもしらんぞー」

「ふぁっっ!?」

「おお、効果覿面だな。おはようリリア」

「おおおおおお、お、おはようございましえんれしは!」

「いえてないぞ」


ふぬおおおおという奇声を発しながら頭を抱え飛び起きた彼女は、いつもどおりである。


(一瞬、本当に奪ってやろうかとか、妬いている自分がいるとか、いろいろと)



「きみの徹夜明けは危ないねぇ」

「自分でもそう思います…」

「じゃ、しばらく徹夜禁止ね」

「は?」

「変に心配の種増やすことになりそうだし」


(ついでに、いつでも奪えてしまう事実に少年が気づく前に)



【徹夜禁止令】



(手を出せば、きっと後悔するだろう)
(そして失ってしまうのだろう)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ