企画展示室
□お題募集企画セカンドシーズン
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闇と秘密は、意外と近くて遠い。
【夜話 解 】
「こんばんは」
突然声をかけられて、驚いたのはレオナルドだった。
声をかけてきた人物にも、だが、その人物が現れた場所にも。
自身の影から、人が現れているのだ。
黒髪に、前髪の右側、一束に藍色のメッシュ。
その髪は肩までほどで、癖毛のように跳ねている。
一瞬、その人物の顔立ちで男か、女か分からなかった。
中性的なその目や鼻のつくり、体つきは錯覚を覚えるのには十分すぎる知覚情報だ。
男なら少年、自分がそう判断するのも、棚に上げているのは、自覚している。
女なら少女と女性の間くらいだろうか。
その目元は、敵意を感じさせない平和的な笑顔。
口元は楽しそうな表情。
それが、影から現れた、敵意無き相手。
そして、レオナルドが探していた人物でもあった。
「あなたが、ノーナ…さん?」
「おうともさ!って、なんで知ってるの?! 義眼の男の子!」
レオナルドがこわごわと聞いてみれば、いい笑顔で返事を返された。
そして矢継ぎ早に自分の能力を口にされ、初対面なハズの相手に目をひん剥くハメになった。
いや、細目だけれど。
「…えっと、なんで貴女が僕の能力知ってるのか問い質したいんだけど」
「よし、腹割って話そうか」
「いいでしょう、そこの喫茶店まで同行してもらっていいですかね」
「キミのおごりならな!」
即答だった。
「今日は奮発してあげましょう!」
そう答えれば、目を輝かせて、レオナルドの手を握るノーナ。
「よし!いく!」
「待て待て待て。先走った上になに餌付けされそうになってるんだ、ノーナ」
「え、だっておいしいものをタダで! おごってもらえるんですよ?!」
「さっきパフェ三種盛り合わせとケーキセットうちの店で食べたよね、キミ」
「別腹!」
「甘いものだけでいくつ別腹あるんだ、キミ」
「あの」
【互いの遭遇が残念だった場合】
(ノーナ、義眼の少年が唖然としているぞ)
(ファーザーさんの姿に唖然としてるんでしょう?!)
(両方だ! 両方!)