長編
□運命の人
1ページ/9ページ
ー1年後ー
「お疲れさま〜。」
「篤志さん早いっすね、さすが新婚さん!」
「ったく、からかうなよ敬浩。」
EXILE第二章が始まって、半年後俺は碧と結婚した。
ファンの中には俺の結婚に対し否定的な人もいたけれど、ほとんどの人は俺たちのことを祝福してくれた。
公私ともに満たされた、幸せな毎日……
結婚する前も今も碧は変わらず相澤さんの会社で秘書として働いていて、その間本社のあるNYに何度か行ったりもしていた。
もちろん今はどんなことがあっても、飛行機に乗るなんてさせられない。
その理由は結婚してすぐに分かった彼女の妊娠……
彼女の口からその事を告げられた瞬間、嬉しくて言葉よりも先に涙が出た。
彼女の身体を案じて本当は妊娠を機に仕事を辞めてもらいたかったが、意外と頑固な彼女はしっかりと後任の人に仕事を引き継いでからでないと辞めることはできないと俺の希望をきっぱりと拒否して今もなお働き続けている。
相澤さんも彼女の妊娠を本当に喜んでくれて、NYにいながらも頑張りすぎる彼女の性格を心配していろいろと仕事での配慮してくれているらしい。
「そういえば赤ちゃんの性別分かったんですか?」
「たぶん今日の検診で分かるって言ってたからメールしたんだけど、碧教えてくれなくて。」
「へぇ〜、意外と碧さんSっすね。」
「あ〜すごい気になる、というわけで俺帰るから。また明日な!」
「はい、お疲れさまでした。」
敬浩の爽やかな見送りを受けて、急ぎ足で彼女の待つ自宅へと帰った。