長編
□運命の人
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その日から俺は碧ちゃんとメールで頻繁に連絡を取るようになった。
本当は電話で声も聞きたかったけれど、お互いの恋人に遠慮してメールだけしかしなかった。
もちろん、あれから一度も会っていない。
会いたいなあ……
彼女からもらった鈴を手に取りそう思う。
そして徐々に周りの環境も動き出す。
俊ちゃんはソロ活動を本格化させ、HIROさんは今以上の新EXILEを作るためメンバーにAKIRAを入れたいと言った。
俺自身もこの数ヶ月のどのポリープを何とか手術以外の方法で治せないものか必死に調べたけれど、やはり手術をする事が一番だと思いメンバーのみんなに伝えた。
俺に気を使ってその話題に触れないようにしてくれたみんなの気持ちが分かっていたから、自分の覚悟が決まったことをちゃんと言いたかった。
もちろん、その覚悟が出来たのは碧ちゃんの存在があったからだ。
結局お百度参りの願いは何だったのか聞かなかったけれど、たぶん俺の手術が成功するように願ってくれたのだと思う。だからこそ手術への不安があっても俺は覚悟を決めることが出来たのだ。
俺のために頑張ってくれた碧ちゃんの気持ちを無駄にしてはいけない。
鈴の音を聞きながら、碧ちゃんへ会いたい想いをさらにつのらせた。