novel 中編・短編

□真っ黒綱吉様降臨!!
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その笑顔は清々しいが黒いものがある。


獄寺もそれを感じ取ったのだろう。
冷や汗をかいてずこずこと自分の席についた。


それを見た綱吉は満足そうに笑い、またイヤホンを耳につけようとした。

が、それは綱吉の前にいる山本によって阻まれた。


山本が綱吉の頬を両手で持ち上げたからだ。


やはり口が悪くなり、雰囲気が黒くなっても綱吉は綱吉だ。

元から可愛らしい顔立ちをしているので、じっと見つめられると目を離せなくなる。


周りの目など気にせず、その額にキスをしようと唇を近づける山本。



が、それは綱吉が片手で阻止した。


よく分からない攻防に思わず固唾を飲んで見守る生徒たち。


ごくりっという効果音が鳴りそうだ。



何時もの綱吉なら呆気なくキスを食らっていただろう。



しかし、今の綱吉はにこにこと笑いながら山本を見つめる。



「このホモ野郎。いっぺん死んでこい。」



口からでる罵詈雑言は笑い事ですまないが。

流石の山本もこれには答えるのでは!?っと思った生徒たちは山本に視線を移す。


するとそこには、そちらもそちらでにこにこ笑っている本性丸出しの山本がいた。


あぁ、そうだ。山本はこういう奴だった。



山本も山本で大分腹黒い。



黒vs黒の闘いはどちらが勝つのか。
ただただ傍観に徹する生徒たち。




すると今度は山本が動いた。



「ははっ、ツナ、いい加減にするのな。俺にそんな口聞くと後でお仕置きなのな。」



はい、ぶっこんできた。


生徒たちは山本の大胆発言に顔を真っ青にした。
まあ、中には恍惚の笑みを浮かべていたり、涎を拭いているものもいた。


そんななかで、綱吉だけは嫌そうな顔を露骨にしながら立ち上がりイヤホンを完全に外して、腕を組む。



「お仕置き?やってみろ。跡形もなく灰も残さず綺麗に逝かせてやる。」



王様オーラ全開の綱吉。


本当に彼に何が起こったのだろうか。



そこにいる生徒はもはやその場から一歩たりとも動けず、その成り行きを見守ることしかできずにいた。
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