novel 中編・短編

□真っ黒綱吉様降臨!!
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本日は晴天。
青空が虚空の彼方まですみわたり、空気も綺麗なもののように感じ取れる。
よい天気というものは心までも晴れやかにしてくれるものだから堪らない。

が、


教室のドアを開けて入ってくる生徒は何故か皆、少ししてから窓側の生徒を見て、嫌な汗をかいていた。
それは目をあわせたら負ける!といわんばりに。




なぜなら、そこから可笑しいくらいのどす黒いオーラが流れているからだ。
人の黒い感情を集めて凝縮しても勝てるか不安なほどの圧がクラスメイトを押し潰そうとかかっている。



その根元にいる少年、沢田綱吉はそんな生徒を一瞥して、無視を決め込んでいた。
まるで眼中にないと、言われているようだ。
生徒たちからしてみればそれで構わないのだがそう思えない。
断じてそう思えない。




沢田綱吉という人間はこんな雰囲気をもつ人間ではなかったはずだ。

少なくとも昨日までは。


いったいどうしたというのか。



話しかけたくても、話しかけられない。
何とかしたいけど死にたくない。


そんななかで彼らにとっての救世主が現れた。




「お早う御座います!!十代目!!」
「ツナ、おはようなのな」




獄寺と山本だ。
二人とも、真っ先に綱吉の元へ行く。



「十代目!!なぜ、この獄寺を置いていかれたのですか!!??」
「そうなのな、ツナ。俺、すんげー寂しかったんだぜ?」




珍しい。
今日は三人で来なかったらしい。

というか、いつもの綱吉ならここでご免なさいと謝るだろう。

が、反応がない。

いくら待っても、綱吉が話すことはない。
痺れを切らした獄寺は綱吉により一層近づいて声をかけた。

「聞いておられますか!?十代目ぇぇぇぇぇぇ!!!!!????」


すると、



「うるさいなぁ、キャンキャン喚かないでよ、この駄犬が。」



イヤホンを耳から外して、毒をはく綱吉。


「獄寺くん?ハウス。」


そういって、綱吉は獄寺の席を指差す。
ハウスなんて言葉を人間に使う場合は、悪意以外あり得ないことだ。


獄寺も山本、周りの生徒たちも驚いている。


((((((((((なんか、いつもの沢田じゃない!!!!!!))))))))))



誰もが困惑する。(いや、薄々そんな気もしてたけどさっっっっ!!!)

そりゃそうだろう。

昨日まで、弱気で優しかった少年が一夜にして、強気で毒をはきだす少年に変わっているのだから。




「聞こえなかったの?駄犬、ハ・ウ・ス。」




黒い笑みを浮かべて、獄寺に話し、
命令する綱吉。
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