世界一初恋 短編

□甘えたい・・・
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ペラッ
静まった部屋に俺と高野さんの本を捲る音だけが響く。

パタン。
少し疲れたので本から目を離し隣で夢中になって読んでいる高野さんをふと見つめてみた。

・・・高野さん、近くで見ると睫毛長いんだな・・・

よく見ると目の下に消えていない隈がある。

折角カッコイイのに、ちょっと勿体ないかも・・・
でもそれだけ仕事頑張ってるって証拠だもんな。

ジー・・・

しばらく見つめ続けているのに気付いてないのか高野は本から目を離さない。

なんだか少し寂しい・・・
・・・ちょっと甘えてみようかな。

髪を触ってみるとか、抱き付いてみたりとか、手を握ってみたりとか・・・
でも本の邪魔になる事はあまりしたくないし・・・。

ならもし、高野さんにくっついて『愛してます』と言ったらこの人はどんな反応をするだろうか。


・・・襲われる気しかしない。

でも滅多に俺から言わないし、いつも言ってもらってばっかりだし、物凄く恥ずかしいけど、少しだけ高野さんがどんな反応するのか見てみたい。

・・・よしっ。
俺は高野さんの横にぴったりと密着し、さすがに顔を見て言うのは恥ずかしすぎるので俯いたまま話しかける。
「・・・あの、高野さん」
「なんだ?」
高野は本から目をそらさずに声だけで返事をした。

少しくらいこっち見てくれたっていいじゃないか・・・

「あの・・・突然なんですけど・・俺、高野さんの事、好き、ですっ、愛して、ますよ///

ピタッ・・・ボトンッ

その言葉を聞いた瞬間高野の手から本が落ちこちらを見て固まった。

さすがに急に告白ってダメだったかな///
好きって言った時点で声小さくなっちゃってたし絶対聞こえてないっ
あああ恥ずかしくて高野さんの顔が見れないっ

「・・・・・」
「・・///・・・?」

・・・あれ?いつもなら何かしら反応があるのに何もこない。
恐る恐る高野さんの顔を見るとさっきと同様に固まっている。
あれ・・・?もしかしてやっぱり聞こえてなかったのか?
それだったら俺超恥ずかしいんだけど!
「た、高野さんっあの!」
俺が口を開いたのと同時に高野さんが片手で顔を隠し大きく息を吐き出した。
「はあああ・・・お前それ、反則・・・///」
そう言う高野さんの顔が真っ赤になっている
「っ!!!」
え、え!?
て、照れてる・・・
あの高野さんがっ・・・
・・・・・・か、かわいい、かも///


グイッ
だがそう思っていたのも束の間、俺はなぜか高野さんに押し倒され唇をふさがれた。
「っ!!!///た、高野さんっ!///」
先程の照れ顔とは反対に嫌な予感のする笑みを高野さんは浮かべていた。

これは・・・ヤバい・・・。

「俺も好きだ、愛してるよ、律。
ということで寝室行くか」(ニッコリ)
「は!?え、いや、何がということでなんですか!ちょっと下してくださいっ!」
軽々と抱きかかえられ俺が暴れるのも無視して寝室に連れて行かれる。
「煽ったお前が悪い」
「いやだああああああ」
バタンッ


その後丸半日ベッドから動けなくなり高野に世話をしてもらうのは言うまでもない。
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